Instagram広告を始める前に、他社がどんな広告で成果を出しているのかを知りたい。けれども、事例をまとめた記事の多くは、広告の画像を並べて「おしゃれ」「世界観が伝わる」と感想を添えるだけで、何をどう比べて、どれだけ成果が変わったのかまでは分かりません。
この記事では、Metaが公式に公開している成功事例から、Instagram広告で成果の数字が出ている9社を選び、目的別に整理します。各事例で「何を目的に、どんな広告を出し、何と比べてどれだけ成果が変わったか」と「自社で真似できること」を具体的に解説し、最後に、事例の工夫をAIで再現する方法を紹介します。
事例の見方:「何と比べてどう変わったか」を見る
Metaの公式の事例は、多くが「いつもの広告だけの場合」と「新しいやり方を足した場合」を比べて、成果の差を示しています。事例を読むときは、次の3つを確かめると、自社で何を試せばよいかが分かります。
| 確かめること | 例 |
|---|---|
| 何を足したか | リール動画、クリエイターと組んだ広告、AIによる広告の自動生成など |
| 何と比べたか | 写真だけの広告、いつものキャンペーン、手作業のターゲット設定など |
| 何の数字が変わったか | 購入の単価、ROAS(広告費に対する売上)、登録数、広告の想起率など |
Metaが公開している事例は海外の会社が中心で、日本の会社の事例は多くありません。この記事では、日本の事例に加えて、日本の会社でもそのまま試せる海外の事例を選びました。事例の数字は、すべてMeta for Businessの成功事例ページに掲載されている数字です(2026年10月時点)。
Instagram広告の成功事例9選:一覧
| 会社(国・地域) | 目的 | 足したこと | 主な成果 |
|---|---|---|---|
| ROBINMAY(台湾) | 購入 | 写真の広告に、リールの作り方の基本に沿った縦型動画を追加 | 購入の単価が38%低下 |
| PRESS Healthfoods(イギリス) | 購入 | Advantage+ ショッピングキャンペーンと、生成AIで広告を作り分ける機能 | 購入の単価が33%低下、商品の売上が40%増加 |
| Sephora(アメリカ) | 店舗とネットの売上 | クリエイターと組んだパートナーシップ広告と、商品カタログの広告 | 広告による売上の増分のROASが1.56倍 |
| Wardah Beauty(インドネシア) | 売上 | 64人のクリエイターと組んだパートナーシップ広告 | ROAS 2.1倍、いつものキャンペーンの1.4倍 |
| PrimeCredit(香港) | クレジットカードの申し込み | リールでのパートナーシップ広告 | 申し込みの完了数が39%増加、申し込みの単価が28%低下 |
| クラシコム(日本) | 新しい顧客へのリーチ | ターゲット設定をAIに任せるAdvantage+ オーディエンス | リーチの単価が18%低下 |
| Nutrioli(メキシコ) | 新商品の認知 | 商品の見せ方を変えた動画・写真を幅広く用意 | 広告の想起率が18.5ポイント上昇 |
| Tropical Smoothie Cafe(アメリカ) | 認知と購入 | 人気のリールの直後に出る広告(リールトレンド広告) | 広告の想起率が13.1ポイント上昇 |
| TRESemmé(オーストラリア) | 購入意向 | リールトレンド広告 | 購入意向が3.9ポイント上昇 |

縦型のリール動画を足した事例
1. ROBINMAY(台湾・バッグ):写真の広告に縦型動画を足して、購入の単価が38%低下

- 目的:いつも出しているキャンペーンの成果をさらに上げたい
- やったこと:Metaの広告マネージャーの推奨(最適化スコア)で、リール動画を足すと成果が上がる可能性があると分かった。手元にある素材から、Metaが推奨するリール広告の作り方の基本に沿って動画を作った。基本は、縦9:16の全画面で音ありで見られる前提にする、文字や画像をリールの操作ボタンに隠れない範囲に置く、いちばん伝えたいことを最初の3秒に入れる、の3つ。写真の広告だけのキャンペーンと、写真に動画を足したキャンペーンを、A/Bテストで比べた
- 成果:動画を足したほうが、購入の単価が38%低かった
(出典:Meta for Business 成功事例 ROBINMAY)
自社で真似できること:新しく撮影しなくても、手元の商品写真や素材から縦型の動画は作れます。今の広告が写真だけなら、縦型動画を足したキャンペーンとA/Bテストで比べるのが、いちばん小さく始められる試し方です。
クリエイターと組んだ事例
2. Sephora(アメリカ・化粧品):クリエイターの投稿と商品カタログを組み合わせ、売上の増分のROASが1.56倍

- 目的:ネットと店舗をまたいだ売上を、いつもの広告よりさらに伸ばしたい
- やったこと:クリエイターと組んだパートナーシップ広告(自社とクリエイターの両方のアカウントから配信される広告)と、商品カタログから見る人に合う商品を自動で出す広告を組み合わせた。クリエイターの写真や動画に、カタログの商品画像が自動で添えられる形になる
- 成果:いつもの広告だけの場合と比べて、広告による売上の増分のROASが1.56倍
(出典:Meta for Business 成功事例 Sephora US)
3. Wardah Beauty(インドネシア・化粧品):64人のクリエイターと組み、ROAS 2.1倍

- 目的:若い女性の買い物客からの売上を伸ばしたい
- やったこと:Instagramのクリエイターを探す機能を使い、ブランドに合うクリエイター64人と組んで、人気の化粧品を紹介するパートナーシップ広告を出した。ネット通販の会社と一緒に出す広告も組み合わせた
- 成果:パートナーシップ広告のROASが2.1倍で、いつものキャンペーンの1.4倍。売上の増分は17%
(出典:Meta for Business 成功事例 Wardah Beauty)
4. PrimeCredit(香港・クレジットカード):リールでクリエイターと組み、申し込みが39%増加

- 目的:若い世代向けのクレジットカードの申し込みを増やしたい
- やったこと:まず若手の俳優を起用した動画で認知を広げた。そのうえで、広告マネージャーの推奨(最適化スコア)に従い、動画の種類を増やしてリールの配置を使うことにし、クリエイターと組んだパートナーシップ広告をリールで出した
- 成果:いつもの広告だけの場合と比べて、申し込みの完了数が39%増加し、申し込み1件あたりの単価が28%低下
(出典:Meta for Business 成功事例 PrimeCredit)
3社から真似できること:クリエイターの投稿は、会社の広告よりも「使っている人の目線」が伝わります。パートナーシップ広告は、クリエイターのアカウントからも配信されるので、自社のフォロワー以外にも届きます。最初から何十人と組む必要はなく、商品に合うクリエイター数人と組み、いつもの広告と比べるところから始められます。
AIに作り分けや配信先を任せた事例
5. PRESS Healthfoods(イギリス・健康食品):生成AIで広告を作り分け、購入の単価が33%低下

- 目的:商品の売上を伸ばし、広告の効率を上げたい
- やったこと:配信の設定をAIで自動化するAdvantage+ ショッピングキャンペーンと、広告の画像や文章をAIが自動で作り分けるAdvantage+ クリエイティブの生成AIの機能を組み合わせた。生成AIの機能には、1枚の画像の明るさや切り抜き、文字の位置を自動で整える、画像を生成する、広告の文章の候補を作る、などがある
- 成果:いつものキャンペーンとAIを使わない広告と比べて、購入の単価が33%低く、商品の売上が40%増えた
(出典:Meta for Business 成功事例 PRESS Healthfoods)
6. クラシコム(日本・生活雑貨):ターゲット設定をAIに任せ、リーチの単価が18%低下

- 目的:アプリの広告を何年も続けてきたなかで、まだ届いていない新しい顧客に広げたい
- やったこと:いつもは日本の18歳以上の女性を広く狙う設定で広告を出していた。広告マネージャーの推奨(最適化スコア)に従い、配信先をAIが見つけるAdvantage+ オーディエンスに切り替えた
- 成果:いつものターゲット設定と比べて、リーチの単価が18%低下した
(出典:Meta for Business 成功事例 クラシコム)
AIの事例から真似できること:Metaの広告マネージャーには、キャンペーンの改善の推奨を点数と一緒に示す「最適化スコア」があります。ROBINMAY、PrimeCredit、クラシコムの3社とも、この推奨をきっかけに新しいやり方を試しています。まずは自社の広告マネージャーで、どんな推奨が出ているかを確かめるところから始められます。
商品の見せ方を増やした事例と、認知の事例
7. Nutrioli(メキシコ・食用油):見せ方の違う動画を幅広く用意し、想起率が18.5ポイント上昇

- 目的:液だれしない新しいボトルになったことを知ってもらいたい
- やったこと:最初のキャンペーンのあと、2回目のキャンペーンでは、動画と写真の見せ方を幅広くした。ボトルそのものと液だれしない様子を見せる広告と、料理への使いやすさを見せる広告を作り分け、同じ人に何度か見せる配信にした
- 成果:広告の想起率が18.5ポイント、ブランドの認知が10ポイント上昇
(出典:Meta for Business 成功事例 Nutrioli)
8. Tropical Smoothie Cafe(アメリカ・飲食):人気のリールの直後に出る広告で、想起率が13.1ポイント上昇

- 目的:お店の認知と購入を増やしたい
- やったこと:クリエイターが作った人気のリールの直後に表示される「リールトレンド広告」を試した
- 成果:広告の想起率が13.1ポイント、ブランドの認知が4.1ポイント、検討の意向が5.7ポイント上昇
(出典:Meta for Business 成功事例 Tropical Smoothie Cafe)
9. TRESemmé(オーストラリア・ヘアケア):リールトレンド広告で、購入意向が3.9ポイント上昇

- 目的:商品を買いたい気持ちを高めたい
- やったこと:リールトレンド広告を試した
- 成果:購入意向が3.9ポイント、広告の想起率が4.3ポイント上昇
(出典:Meta for Business 成功事例 TRESemmé Australia)
3社から真似できること:Nutrioliのように、同じ商品でも「何を見せるか」を変えた広告を複数用意すると、見る人ごとに響く広告が届きやすくなります。商品の特長が1つでも、見せ方(商品そのもの、使う場面、他の商品との違い)は何通りも作れます。
9社の事例から分かる、成果が出る広告の共通点
| 共通点 | 事例 | 自社でやること |
|---|---|---|
| 写真だけでなく、縦型の動画を足す | ROBINMAY、PrimeCredit | 手元の素材から縦9:16の動画を作り、最初の3秒に一番伝えたいことを入れる |
| 使う人の目線を足す | Sephora、Wardah Beauty、PrimeCredit | 商品に合うクリエイターと組むか、使う人の目線で話す動画を作る |
| 見せ方の違う広告を何本も用意する | Nutrioli、PRESS Healthfoods | 商品そのもの、使う場面、他との違いなど、見せ方を分けて作る |
| いつものやり方と比べて確かめる | 9社すべて | 新しいやり方だけを出すのではなく、いつもの広告と同時に出して比べる |
Metaの公式も、リール広告では縦9:16の全画面、音ありの前提、操作ボタンに隠れない範囲に文字を置く、最初の3秒に一番伝えたいことを入れる、を推奨しています(出典:上記ROBINMAYの事例)。リール広告の入稿の決まりと作り方は、Instagramリール広告の記事で詳しく解説しています。
事例を自社で再現する手順
- 今の広告の弱いところを確かめる:写真だけなら縦型の動画を、会社目線の広告だけなら使う人の目線の動画を足す候補にする。広告マネージャーの最適化スコアの推奨も確かめる
- 足すものを1つに決める:縦型の動画、クリエイター、見せ方の違う広告など、一度に試すのは1つにする。いくつも同時に変えると、どれが効いたのか分からなくなる
- 足すための広告を作る:見せ方や冒頭の3秒が違う動画を、最低でも3本は用意する
- いつもの広告と比べる:広告マネージャーのA/Bテストで、いつもの広告だけの場合と、新しい広告を足した場合を比べる
- 配信が落ち着くまで待つ:Metaの広告は、配信を始めてしばらくは配信先を学習する期間です。最初の数日の数字で止めず、比べる期間を先に決めておく
- 効いたやり方を広げる:成果が良かったやり方の本数を増やし、反応が落ちた広告は新しい広告と入れ替える
Meta広告のクリエイティブをAIで回す具体的な手順は、Meta広告のクリエイティブをAIで回す記事で解説しています。
事例の工夫をAIで再現する
| 事例の工夫 | AIで再現しやすいか | 理由 |
|---|---|---|
| 写真に縦型の動画を足す(ROBINMAY) | しやすい | 商品の写真やLPの素材から、縦型の動画をAIで作れる |
| 見せ方の違う広告を何本も作る(Nutrioli、PRESS Healthfoods) | しやすい | 見せ方ごとの台本と動画をAIで作れば、本数をそろえる手間が大きく減る。Meta自身も、生成AIで広告を作り分ける機能を提供している |
| 配信先を見つける(クラシコム) | しやすい | Advantage+ オーディエンスなど、Metaの広告マネージャーの機能でAIに任せられる |
| クリエイターと組む(Sephora、Wardah Beauty) | しにくい | 実在の人の信頼やフォロワーそのものが価値なので、AIでは代わりにならない |
AIが効くのは、「比べるための広告」をそろえるところです。 9社とも、いつもの広告と新しいやり方を比べて成果を確かめています。比べるには、見せ方や冒頭の違う広告が何本も要ります。撮影や外注で1本ずつ作っていると、ここで止まってしまいます。
一方で、クリエイターと組む施策は、人の信頼が価値になるので、AIで作った動画では代わりになりません。クリエイターとの施策は人と組み、AIは、クリエイターの動画と比べるための自社の動画や、入れ替え用の動画に使うのが現実的です。
見せ方の違う縦型動画をまとめて作る:Zidea(当社サービス)
当社(株式会社zokujin)が運営するZideaは、LPのURLを入れるだけで、AIが訴求軸の分析から台本・絵コンテ・動画広告の制作までを行う、動画広告に特化したサービスです。AIアバター、映像生成、編集、効果音やモーションなどの演出まで1つのツールで扱え、台本・映像・テロップ・演出は細かく編集できます。写真の広告に縦型動画を足したいときや、見せ方の違う動画を何本も作って比べたいときに、まとめて作れます。
当社の自社運用での実証では、1本の制作時間が8時間から30分に、検証できる本数が1本から20本に増えました(お客様の成果ではなく、当社自身の運用結果です)。
試すには無料アカウントの作成が必要です。新規登録すると絵コンテを1本無料で作れます。動画は7日間の無料トライアルで、カード登録が必要です。

こんな広告動画が、URL ひとつで
まとめ:事例を自社に活かすチェックリスト
- 事例の「結果」だけでなく、「何を足して、何と比べたか」を書き出したか
- 今の広告が写真だけなら、縦型の動画を足す試し方を検討したか
- 会社目線の広告だけなら、クリエイターや使う人の目線の動画を足す試し方を検討したか
- 広告マネージャーの最適化スコアで、どんな推奨が出ているかを確かめたか
- 一度に試すのは1つにし、いつもの広告とA/Bテストで比べると決めたか
- 見せ方や冒頭の3秒が違う動画を、最低でも3本用意したか
- 最初の数日で止めず、比べる期間を先に決めたか



