TikTokの「Smart+」、Metaの「Advantage+」、Googleの「P-MAX」や「AI最大化設定」。広告の媒体は、誰に、どの素材を、いくらで出すかをAIが決める仕組みを次々に出しています。けれど、「手で運用するより本当に良いのか」「日本の会社でも成果が出ているのか」は、気になるところです。
この記事では、日本の会社が媒体のAIを使って成果を出した公式の事例を14件集めました。出典は、各媒体の公式の事例ページです。数字は、何と比べた結果なのかを必ず書き、比べた相手がページに書かれていない事例は除いています。最後に、自社で試すときの進め方も紹介します。
媒体のAIは、何を決めてくれるのか

| 媒体 | 仕組み | AIが決めること |
|---|---|---|
| TikTok | Smart+ | 素材の組み合わせ(最大30本の動画など)、配信先、入札 |
| Meta | Advantage+ ショッピング、Advantage+ オーディエンス、Advantage+ カタログ広告 | 配信する相手、配置、カタログの商品の出し分け |
| P-MAX、AI最大化設定(検索)、価値ベースの入札 | 配信面(検索・YouTube・ディスプレイなど)、検索語句、入札 | |
| LINEヤフー | 自動入札 | 入札の金額 |
どの仕組みも、人が用意するのは、目的、成果の計測、素材です。AIはそれを材料に、配信の結果から学んで判断します。
AIに任せたことで分けた、14の事例
媒体のAIの事例は、「AIに何を任せたか」で分けると、自社のどの設定を変えればよいかが見えてきます。
素材の組み合わせと配信先を任せた(TikTok Smart+)
| 企業(業種) | 成果 | 比べた相手 |
|---|---|---|
| 大和コネクト証券(証券) | 口座開設の申込が1.9倍、外部の計測でのCPA-14.5% | Smart+を使う前 |
| レバレジーズ「レバクリ」(オンライン診療) | CTR+147%、CPA-34% | 同じ訴求の手動キャンペーン |
| Link-U「COMIC FUZ」(マンガアプリ) | CTR+109%、CPI-19% | 同じ期間の通常のキャンペーン |
| ファストノット「ベルミス Color+」(アパレルEC) | CTR+108%、CPA-19% | ターゲティングと素材をそろえた通常の配信 |
| キュービック「Loan Portal」(金融メディア) | CPA-18.7%、CVR+123%、ROAS+160% | Smart+の別の入札方式 |
この表から言えること:キュービックを除く4件は、通常の配信や導入前より良い結果です(キュービックはSmart+の入札方式どうしの比較です)。しかもレバクリ、COMIC FUZ、ベルミス Color+の3件は同じ時期に並べて比べているので、AIの効果を読み取りやすい事例です。共通しているのは、AIが組み合わせを選べるだけの素材を用意していることです。
配信する相手と、商品の出し分けを任せた(Meta Advantage+)
| 企業(業種) | 使った仕組み | 成果 | 比べた相手 |
|---|---|---|---|
| ヴィレッジハウス・マネジメント(賃貸) | Advantage+ ショッピング | 購入単価-60% | 通常の手動の広告 |
| 楽天グループ(EC、出店店舗向け) | Advantage+ カタログ広告 | ファッションの店舗でCVが2.2倍、ビューティの店舗でCV+60%(広告による上積み) | 広告を見ていない人(コンバージョンリフト調査) |
| クラシコム「北欧、暮らしの道具店」(EC) | Advantage+ オーディエンス | リーチ単価-18% | 手動のターゲティング |
この表から言えること:配信する相手の選び方をAIに任せた3件とも、手動の配信や広告なしより良い結果です。楽天グループは、広告を見ていない人と比べる調査で、広告による上積みまで確かめています。単価だけでなく、本当に増えたかまで見たい場合の手本になります。
配信面と入札を任せた(Google P-MAX・価値ベースの入札)
| 企業(業種) | 使った仕組み | 成果 | 比べた相手 |
|---|---|---|---|
| MonotaRO(BtoB EC) | P-MAX | ROAS+48%、新しい法人のお客様+44% | 従来のショッピングキャンペーン |
| IDOM「ガリバー」(中古車) | P-MAX+価値ベースの入札 | 成約率1.4倍、成約単価-30% | 従来の目標CPAの入札 |
| イトーヨーカドー(総合スーパー) | P-MAX | 純増分に対するROAS 890% | 広告による純増分 |
この表から言えること:従来のキャンペーンからP-MAXに移して成果が出ています。IDOMのように、成約などの価値の情報をAIに渡すと、件数だけでなく価値の高い成果を狙えます。
P-MAXで動画を用意しないと、Googleが自動で動画を作ることがあります。動画の用意のしかたは、P-MAXの動画アセットの設定と使い方で解説しています。
検索語句と入札を任せた(Google 検索広告のAI)
| 企業(業種) | 使った仕組み | 成果 | 比べた相手 |
|---|---|---|---|
| KINTO(車のサブスク) | 自社のデータを使った検索広告のAI | 新規の申込+25.6%、CPA-34.5% | 前年の同じ期間 |
| GMOクリック証券(証券) | AI最大化設定 | CVの出た検索語句の56%がAI最大化設定からだけ配信、CPAはキャンペーン全体より3.6%安い | 同じキャンペーンの全体 |
この表から言えること:検索広告では、自社のデータ(KINTO)と、AIが見つけた新しい検索語句(GMOクリック証券では成果の出た語句の56%)が効いています。人が思いつかない語句を、AIが拾っていると考えられます。
入札を任せた(LINEヤフーの自動入札)
| 企業(業種) | 使った仕組み | 成果 | 比べた相手 |
|---|---|---|---|
| Heart Full(不動産・住宅のイベント集客を担う広告代理店) | 手前の成果を使ったCV数の最大化の自動入札(Yahoo!広告 ディスプレイ) | CPA 40%改善、イベントの申込+13% | 手動の入札 |
この表から言えること:成果の数が少なくても、手前の成果(マイクロコンバージョン)を使えば自動入札が働くことを示す事例です。申込が少ない商材でも、AIに任せる余地があります。
(出典:TikTok for Business の事例 大和コネクト証券・レバクリ・COMIC FUZ・ベルミス Color+・Loan Portal、Meta for Business の事例 ヴィレッジハウス・マネジメント・楽天グループ・クラシコム、Google「P-MAX」の事例、Google「AI Excellence Awards」の事例、Google「P-MAX と AI 最大化設定」、LINEヤフー for Business の事例)
数字の読み方:比べ方で、確からしさが変わる
14件の事例は、比べ方がそろっていません。自社で同じ結果が出るかを考えるときは、どの比べ方かを見ます。
| 比べ方 | 事例 | 読み方 |
|---|---|---|
| 同じ時期に並べて比べた | レバクリ、COMIC FUZ、ベルミス Color+、クラシコム、ヴィレッジハウス・マネジメント | ほかの条件の違いが少なく、AIの効果を一番読み取りやすい |
| 広告を見た人と見ていない人を比べた | 楽天グループ、イトーヨーカドー | 広告がなければ起きなかった上積みを見ている |
| 導入の前と後を比べた | 大和コネクト証券、MonotaRO、IDOM | 季節や素材の変化など、AI以外の影響も入りうる |
| 前の年と比べた | KINTO | 1年の間のほかの変化も含まれる |
| AIの仕組みどうしで比べた | キュービック、GMOクリック証券 | AIを使うかどうかではなく、使い方の違いを見ている |
次の4つの章で、比べ方ごとに1つずつ事例をくわしく見ます。自社で試すときの比べ方の手本になります。
ベルミス Color+の事例:素材とターゲットをそろえて、同じ時期に比べた(同時の比較)
アパレルECのファストノットは、「ベルミス Color+」の広告で、ターゲティングと素材を同じにしたうえで、TikTokのSmart+と通常の配信を比べました。Smart+の方が、CTRは108%高く、CPAは19%低い結果でした。
学べること:素材とターゲットをそろえると、違いは「AIに任せたかどうか」だけになります。一番まっすぐにAIの効果を見られる比べ方です。

クラシコムの事例:手動のターゲティングと比べた(同時の比較)
「北欧、暮らしの道具店」のクラシコムは、Metaの最適化スコアの推奨に従ってAdvantage+ オーディエンスを使い、手動のターゲティング(18歳以上の女性)と比べました。リーチ単価は18%下がっています。
学べること:媒体の推奨(最適化スコア)は、そのまま比べる仮説になります。採用する前に、手動と並べて確かめられます。

MonotaROの事例:従来のキャンペーンから移して比べた(導入の前後の比較)
BtoBのECのMonotaROは、ショッピングキャンペーンからP-MAXに移し、導入後4週間で、従来のショッピングキャンペーンと比べてROASが48%上がり、新しい法人のお客様は44%増えました。
学べること:前後の比較は、移したあとの期間の長さもあわせて見ます。4週間のように、学習が進んだあとの数字かどうかで読み方が変わります。

KINTOの事例:自社のデータを入れて、前の年と比べた(前の年との比較)
車のサブスクのKINTOは、自社のデータを検索広告のAIに使い、2025年1〜10月で、前の年の同じ期間と比べて新規の申込が25.6%増え、CPAは34.5%下がりました。
学べること:自社のデータは、AIが学ぶ手がかりになります。前の年との比較は1年分のほかの変化も含むので、ほかの事例とあわせて判断します。

媒体のAIで成果を出すために、人が用意すること
| 用意すること | なぜ要るか | 事例 |
|---|---|---|
| 成果の計測 | AIは計測された成果を学ぶ。計測が欠けると、違う相手に配信を寄せてしまう | 大和コネクト証券は外部の計測でCPAを確かめている |
| 価値の情報 | 成約や売上の金額を渡すと、価値の高い成果を狙える | IDOMの価値ベースの入札 |
| 自社のデータ | 既存のお客様の情報が、学習の手がかりになる | KINTOは自社のデータを検索広告のAIに使った |
| 素材の本数 | AIが組み合わせを選ぶには、選べるだけの素材が要る | 大和コネクト証券は最大30本の動画を用意した |
AIに任せるほど、人の仕事は「細かな設定」から「計測と素材の準備」に移ります。
自社で試すときの進め方
- 成果の計測を整える:購入や申込が、媒体に正しく返っているかを確かめる
- 今のキャンペーンと並べて比べる:媒体のA/Bテストの機能で、手動とAIを同じ時期に比べる(広告のABテストのやり方)
- 素材を何本も用意する:訴求や冒頭を変えた素材をそろえ、AIが選べるようにする
- 学習が終わるまで待つ:配信の初めは成果が安定しない。数字を見て判断するのは、成果が十分にたまってから
- 勝った組み合わせを見て、次の素材を作る
AIに選ばせる素材を、何本もそろえるには
媒体のAIは、渡された素材の中から当たりを選ぶ仕組みです。大和コネクト証券のように30本の動画を用意するのは、撮影や外注で作っていると、それだけで大きな負担になります。
当社が提供している動画広告AIのZideaは、この素材の準備を受け持つツールです。商品のLPのURLを入れると、AIが訴求軸を分析し、訴求ごとの台本と絵コンテから動画広告まで作ります。冒頭や訴求を変えたパターンもまとめて作れるので、Smart+やAdvantage+に渡す素材の本数をそろえられます。縦型・横型など、媒体に合わせた形にも作れます。
株式会社zokujinは、Zideaを使って受託している広告の運用でも、この形で回しています。Meta広告で月約560万円を配信した約3か月の運用では、AIで作った動画を週ごとに入れ替えながら、CPAが24,000円から14,800円(-38%)に下がりました。
試すには無料アカウントの作成が必要です。新規登録すると絵コンテを1本無料で作れます。動画は7日間の無料トライアルがあります。

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まとめ:媒体のAIを試す前のチェックリスト
- 購入や申込が、媒体に正しく計測されているか
- 成約や売上の金額など、成果の価値を媒体に渡せるか
- 手動とAIを同じ時期に並べて比べる準備をしたか
- AIが選べるだけの素材の本数(訴求や冒頭を変えたもの)を用意したか
- 学習の期間を見込んで、すぐに判断しない予定にしたか
- 事例の数字を見るときに、何と比べた結果かを確かめたか



