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広告運用の内製化(インハウス化)の進め方|メリット・デメリットとAIで少人数でも回す方法

Yuta Watanabe(Founder)読了 約11分
代理店から自社へ広告アカウントと配信データを移し、社内でAIを使って運用を回し続ける、広告運用の内製化の流れを表した図解
目次

代理店に任せている広告運用を、社内で回せるようにしたい。でも、詳しい人がいない、手が足りない、どこから手を付ければいいか分からない。広告運用の内製化(インハウス化)を考える担当者が、よく抱える悩みです。

この記事では、広告運用・制作の内製化の進め方を6つの手順で解説します。あわせて、内製化のメリット・デメリット、どこまでを社内でやるかの決め方、そしてAI・AIエージェントを使って少人数でも運用を回す方法までまとめました。

広告運用の内製化は、どこまで進んでいるか

富士フイルムビジネスイノベーションが、事業会社でWeb広告の運用に携わるマーケティング担当者500人に行った調査では、広告運用を「全て内製化している」のは30.0%、「一部のみ内製化している」のは53.0%でした(出典:富士フイルムビジネスイノベーション「事業会社の広告運用における内製化実態調査」、2024年9月、インターネット調査)。

同じ調査で、内製化の理由と、内製化で難しかったことは次のとおりです。

内製化の理由(上位3つ)割合
広告運用コストを削減するため62.9%
社内にノウハウを蓄積したかったため48.9%
運用スピードを向上させるため41.2%
内製化で難しかったこと(上位3つ)割合
専門知識を持つ人材が不足していた58.6%
データ分析の難易度が高かった41.2%
社内での広告運用チームの構築に時間がかかった36.4%

つまり、多くの会社は「全部か、ゼロか」ではなく、一部を社内に持つ形で内製化を進めています。そして壁になるのは、人と分析です。この記事では、この2つの壁をどう越えるかを中心に進め方を解説します。

内製化のメリット・デメリット

メリットデメリット
費用代理店の手数料がかからない担当者の人件費や、ツールの費用がかかる
スピード思いついた改善をすぐに試せる担当者が休むと止まる
ノウハウ何が当たったかの学びが社内に残る学びを仕組みで残さないと、担当者の頭の中だけに残る
商品理解商品やお客様をよく知る人が、訴求を決められる社内の思い込みに偏り、外の視点が入りにくい
品質自社の判断で細かく直せる最新の媒体の変更や、運用の知見を追い続ける必要がある

もう1つ、見落とされがちなメリットがあります。配信データが、会社の資産として自社に残ることです。どの訴求が、どんなお客様に、いくらで成果につながったかという記録は、次の広告づくりの一番の材料になります。代理店に任せきりだと、この記録が手元に残りにくくなります。

どこまでを社内でやるかの決め方

内製化は、全部を一度に社内に移す必要はありません。工程ごとに、社内に持つか外に任せるかを決めます。

広告運用の内製化で、社内に持つものと外に任せるものの整理。中央の円の内側が社内に必ず持つ3つの判断(何を成果とするか、どの訴求で勝負するか、結果をどう判断するか)、円の外が外に任せられる作業(撮影、初期設定、第三者の見直し)。作業の一部はAIで社内に取り込める
広告運用の内製化で、社内に持つものと外に任せるものの整理。中央の円の内側が社内に必ず持つ3つの判断(何を成果とするか、どの訴求で勝負するか、結果をどう判断するか)、円の外が外に任せられる作業(撮影、初期設定、第三者の見直し)。作業の一部はAIで社内に取り込める
工程社内に持つと良いこと外に任せやすいこと
戦略・目標何を成果とするか、いくらまで使うか—
訴求・企画誰の、どんな悩みに、何を約束するか案出しの壁打ち
制作訴求違いの検証用の素材撮影が必要な表現、ブランドの核になる作品
配信設定・入札アカウントの管理と、日々の調整立ち上げ時の初期設定や、難しい計測の設計
分析・改善結果の判断と、次に試すことの決定定期的なアカウントの見直し(第三者の目)

おすすめは、「何を成果とするか」「どの訴求で勝負するか」「結果をどう判断するか」の3つは、必ず社内に持つことです。この3つは、商品とお客様を知っている社内の人にしか決められません。逆に、作業として切り出せる部分は、外の力やAIに任せられます。

広告運用を内製化する進め方6ステップとAIの活用法

1. 目的と、判断する指標を決める

内製化の目的を、コスト削減なのか、改善のスピードなのか、ノウハウの蓄積なのかで決めます。広告の成果としては、CPA(1件あたりの獲得費用)やCVR(成果に至った割合)など、判断に使う指標を決めておきます。

AIでどう速くするか:過去の配信レポートをAIに読ませ、「今の成果はどうなっているか、どこが弱いか」を整理させると、内製化の前の現状把握が短時間で済みます。

2. 広告アカウントと配信データを、自社の持ち物にする

代理店が作ったアカウントで配信している場合は、まず広告アカウントと計測の設定を、自社が管理者として持てる状態にします。具体的な移し方は媒体ごとに違うため、各媒体のヘルプと代理店に確認しながら進めます。過去の配信データやレポートも、自社で見られる形で受け取っておきます。

AIでどう速くするか:受け取ったレポートや配信結果をAIにまとめさせ、「これまでに当たった訴求・外れた訴求」の一覧を作っておくと、引き継ぎで学びを失いません。

3. 担当と、外に任せる範囲を決める

前の章の表をもとに、社内でやる工程と外に任せる工程を決めます。いきなり全部を移さず、1つの媒体や1つの商品から始めると、無理なく進められます。

4. 運用の型を作る

週に1回の見直し、月に1回の振り返りなど、運用のリズムを決めます。何を見て、何を判断し、何を記録するかを決めておくと、担当者が替わっても運用が止まりません。

AIでどう速くするか:配信結果を毎週AIに渡し、「先週と比べて何が変わったか、次に何を試すか」をまとめさせる型にすると、見直しの手間が大きく減ります。調査で壁になっていた「データ分析の難しさ」を、AIで下げられます。

5. 検証用のクリエイティブを、社内で作れるようにする

広告の成果を分けるのは、比べられた訴求の数です。訴求違いの画像や動画を、外注せずに社内で作れるようになると、改善のスピードが大きく上がります。

AIでどう速くするか:訴求案の洗い出し、コピーや台本の案、画像や動画の制作まで、AIで作れるようになりました。人は「どの訴求で勝負するか」「事実に合っているか」を判断します。作り方は広告クリエイティブの作り方で詳しく解説しています。

6. 学びを記録して、次の改善に回す

勝った案だけでなく、負けた案から分かったことも記録します。記録が積み上がるほど、次に何を試すべきかが速く決まります。

AIでどう速くするか:記録をAIに読ませれば、「これまでの結果から、次に試すべき訴求は何か」をすぐに引き出せます。記録が担当者の頭の中ではなく、会社の資産として残ります。

AI・AIエージェントで、少人数でも運用を回す

内製化の一番の壁は「人が足りない」ことでした。ここで役に立つのが、AIとAIエージェント(目的を伝えると、複数の作業を順番に進めるAI)です。

AIを組み合わせて少人数で広告運用を回す流れ。左の少人数のチームは判断に集中し、右の分析→訴求の案出し→制作→振り返りのループはAIが回す
AIを組み合わせて少人数で広告運用を回す流れ。左の少人数のチームは判断に集中し、右の分析→訴求の案出し→制作→振り返りのループはAIが回す
作業人だけでやるとAIを組み合わせると
現状の分析レポートを読み込むのに時間がかかる要点と弱いところをすぐにまとめられる
訴求の案出し担当者の経験に頼り、案が少ないお客様の声や資料から、案を多く出せる
制作外注しないと本数を増やせない訴求違いの素材を社内で何本も作れる
振り返り忙しいと後回しになり、学びが残らない毎週の結果をまとめ、次の案まで出せる

配信の最適化(入札や配信先)は、媒体のAIがすでに担っています。運用者が担うのは、媒体のAIに何を任せ、どの素材を渡すかの判断です。媒体のAIと制作のAIの使い分けは広告運用にAIを活用する方法で整理しています。

AIを使っても、判断の責任は社内に残ります。「何を成果とするか」「どの訴求で勝負するか」「配信してよい表現か」は、人が決めます。

内製化でよくある失敗と対策

  • 担当者1人に全部を任せる:休むと止まり、辞めるとノウハウがなくなります。運用の型と記録を残し、2人以上で見られるようにします。
  • 作業を増やしすぎる:配信の調整を細かくやりすぎると、手が回らなくなります。最適化は媒体のAIに任せ、人は訴求と判断に集中します。
  • クリエイティブが増えない:内製化したのに、素材の本数が増えず改善が止まるのはよくある失敗です。検証用の素材は、AIで社内で作れるようにします。
  • 外の視点がなくなる:社内の思い込みで訴求が偏ることがあります。定期的に第三者の目でアカウントを見てもらうのも1つの方法です。

動画広告の内製化をAIで進める:Zidea(当社サービス)

内製化で特に難しいのが、動画広告の制作です。台本、映像、テロップ、演出と工程が多く、社内だけで本数を増やすのは簡単ではありません。

当社(株式会社zokujin)が運営するZideaは、LPのURLを入れるだけで、AIが訴求軸の分析から台本・絵コンテ・動画広告の制作までを行うサービスです。AIアバター、映像生成、編集、効果音やモーションなどの演出まで1つのツールで扱え、台本・映像・テロップ・演出などは細かく編集できます。訴求違いの動画広告をまとめて作り、配信・分析・改善まで同じ流れで回せます。

当社の自社運用での実証では、1本の制作時間が8時間から30分に、1本の制作コストが20,000円から2,000円以下になり、検証できる本数は1本から20本に増えました(お客様の成果ではなく、当社自身の運用結果です)。

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まとめ:内製化を始める前のチェックリスト

  • 内製化の目的(コスト・スピード・ノウハウ)と、判断する指標を決めたか
  • 広告アカウントと計測の設定を、自社が管理者として持てているか
  • 過去の配信データとレポートを、自社で見られる形で受け取ったか
  • 社内に持つ工程と、外に任せる工程を決めたか
  • 「何を成果とするか」「どの訴求で勝負するか」「結果をどう判断するか」を社内で決められるか
  • 週・月の運用の型と、記録の残し方を決めたか
  • 検証用のクリエイティブを、社内で作れる体制があるか
  • 担当者1人に任せきりにしていないか
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