代理店に任せている広告運用を、社内で回せるようにしたい。でも、詳しい人がいない、手が足りない、どこから手を付ければいいか分からない。広告運用の内製化(インハウス化)を考える担当者が、よく抱える悩みです。
この記事では、広告運用・制作の内製化の進め方を6つの手順で解説します。あわせて、内製化のメリット・デメリット、どこまでを社内でやるかの決め方、そしてAI・AIエージェントを使って少人数でも運用を回す方法までまとめました。
広告運用の内製化は、どこまで進んでいるか
富士フイルムビジネスイノベーションが、事業会社でWeb広告の運用に携わるマーケティング担当者500人に行った調査では、広告運用を「全て内製化している」のは30.0%、「一部のみ内製化している」のは53.0%でした(出典:富士フイルムビジネスイノベーション「事業会社の広告運用における内製化実態調査」、2024年9月、インターネット調査)。
同じ調査で、内製化の理由と、内製化で難しかったことは次のとおりです。
| 内製化の理由(上位3つ) | 割合 |
|---|---|
| 広告運用コストを削減するため | 62.9% |
| 社内にノウハウを蓄積したかったため | 48.9% |
| 運用スピードを向上させるため | 41.2% |
| 内製化で難しかったこと(上位3つ) | 割合 |
|---|---|
| 専門知識を持つ人材が不足していた | 58.6% |
| データ分析の難易度が高かった | 41.2% |
| 社内での広告運用チームの構築に時間がかかった | 36.4% |
つまり、多くの会社は「全部か、ゼロか」ではなく、一部を社内に持つ形で内製化を進めています。そして壁になるのは、人と分析です。この記事では、この2つの壁をどう越えるかを中心に進め方を解説します。
内製化のメリット・デメリット
| メリット | デメリット | |
|---|---|---|
| 費用 | 代理店の手数料がかからない | 担当者の人件費や、ツールの費用がかかる |
| スピード | 思いついた改善をすぐに試せる | 担当者が休むと止まる |
| ノウハウ | 何が当たったかの学びが社内に残る | 学びを仕組みで残さないと、担当者の頭の中だけに残る |
| 商品理解 | 商品やお客様をよく知る人が、訴求を決められる | 社内の思い込みに偏り、外の視点が入りにくい |
| 品質 | 自社の判断で細かく直せる | 最新の媒体の変更や、運用の知見を追い続ける必要がある |
もう1つ、見落とされがちなメリットがあります。配信データが、会社の資産として自社に残ることです。どの訴求が、どんなお客様に、いくらで成果につながったかという記録は、次の広告づくりの一番の材料になります。代理店に任せきりだと、この記録が手元に残りにくくなります。
どこまでを社内でやるかの決め方
内製化は、全部を一度に社内に移す必要はありません。工程ごとに、社内に持つか外に任せるかを決めます。

| 工程 | 社内に持つと良いこと | 外に任せやすいこと |
|---|---|---|
| 戦略・目標 | 何を成果とするか、いくらまで使うか | — |
| 訴求・企画 | 誰の、どんな悩みに、何を約束するか | 案出しの壁打ち |
| 制作 | 訴求違いの検証用の素材 | 撮影が必要な表現、ブランドの核になる作品 |
| 配信設定・入札 | アカウントの管理と、日々の調整 | 立ち上げ時の初期設定や、難しい計測の設計 |
| 分析・改善 | 結果の判断と、次に試すことの決定 | 定期的なアカウントの見直し(第三者の目) |
おすすめは、「何を成果とするか」「どの訴求で勝負するか」「結果をどう判断するか」の3つは、必ず社内に持つことです。この3つは、商品とお客様を知っている社内の人にしか決められません。逆に、作業として切り出せる部分は、外の力やAIに任せられます。
広告運用を内製化する進め方6ステップとAIの活用法
1. 目的と、判断する指標を決める
内製化の目的を、コスト削減なのか、改善のスピードなのか、ノウハウの蓄積なのかで決めます。広告の成果としては、CPA(1件あたりの獲得費用)やCVR(成果に至った割合)など、判断に使う指標を決めておきます。
AIでどう速くするか:過去の配信レポートをAIに読ませ、「今の成果はどうなっているか、どこが弱いか」を整理させると、内製化の前の現状把握が短時間で済みます。
2. 広告アカウントと配信データを、自社の持ち物にする
代理店が作ったアカウントで配信している場合は、まず広告アカウントと計測の設定を、自社が管理者として持てる状態にします。具体的な移し方は媒体ごとに違うため、各媒体のヘルプと代理店に確認しながら進めます。過去の配信データやレポートも、自社で見られる形で受け取っておきます。
AIでどう速くするか:受け取ったレポートや配信結果をAIにまとめさせ、「これまでに当たった訴求・外れた訴求」の一覧を作っておくと、引き継ぎで学びを失いません。
3. 担当と、外に任せる範囲を決める
前の章の表をもとに、社内でやる工程と外に任せる工程を決めます。いきなり全部を移さず、1つの媒体や1つの商品から始めると、無理なく進められます。
4. 運用の型を作る
週に1回の見直し、月に1回の振り返りなど、運用のリズムを決めます。何を見て、何を判断し、何を記録するかを決めておくと、担当者が替わっても運用が止まりません。
AIでどう速くするか:配信結果を毎週AIに渡し、「先週と比べて何が変わったか、次に何を試すか」をまとめさせる型にすると、見直しの手間が大きく減ります。調査で壁になっていた「データ分析の難しさ」を、AIで下げられます。
5. 検証用のクリエイティブを、社内で作れるようにする
広告の成果を分けるのは、比べられた訴求の数です。訴求違いの画像や動画を、外注せずに社内で作れるようになると、改善のスピードが大きく上がります。
AIでどう速くするか:訴求案の洗い出し、コピーや台本の案、画像や動画の制作まで、AIで作れるようになりました。人は「どの訴求で勝負するか」「事実に合っているか」を判断します。作り方は広告クリエイティブの作り方で詳しく解説しています。
6. 学びを記録して、次の改善に回す
勝った案だけでなく、負けた案から分かったことも記録します。記録が積み上がるほど、次に何を試すべきかが速く決まります。
AIでどう速くするか:記録をAIに読ませれば、「これまでの結果から、次に試すべき訴求は何か」をすぐに引き出せます。記録が担当者の頭の中ではなく、会社の資産として残ります。
AI・AIエージェントで、少人数でも運用を回す
内製化の一番の壁は「人が足りない」ことでした。ここで役に立つのが、AIとAIエージェント(目的を伝えると、複数の作業を順番に進めるAI)です。

| 作業 | 人だけでやると | AIを組み合わせると |
|---|---|---|
| 現状の分析 | レポートを読み込むのに時間がかかる | 要点と弱いところをすぐにまとめられる |
| 訴求の案出し | 担当者の経験に頼り、案が少ない | お客様の声や資料から、案を多く出せる |
| 制作 | 外注しないと本数を増やせない | 訴求違いの素材を社内で何本も作れる |
| 振り返り | 忙しいと後回しになり、学びが残らない | 毎週の結果をまとめ、次の案まで出せる |
配信の最適化(入札や配信先)は、媒体のAIがすでに担っています。運用者が担うのは、媒体のAIに何を任せ、どの素材を渡すかの判断です。媒体のAIと制作のAIの使い分けは広告運用にAIを活用する方法で整理しています。
AIを使っても、判断の責任は社内に残ります。「何を成果とするか」「どの訴求で勝負するか」「配信してよい表現か」は、人が決めます。
内製化でよくある失敗と対策
- 担当者1人に全部を任せる:休むと止まり、辞めるとノウハウがなくなります。運用の型と記録を残し、2人以上で見られるようにします。
- 作業を増やしすぎる:配信の調整を細かくやりすぎると、手が回らなくなります。最適化は媒体のAIに任せ、人は訴求と判断に集中します。
- クリエイティブが増えない:内製化したのに、素材の本数が増えず改善が止まるのはよくある失敗です。検証用の素材は、AIで社内で作れるようにします。
- 外の視点がなくなる:社内の思い込みで訴求が偏ることがあります。定期的に第三者の目でアカウントを見てもらうのも1つの方法です。
動画広告の内製化をAIで進める:Zidea(当社サービス)
内製化で特に難しいのが、動画広告の制作です。台本、映像、テロップ、演出と工程が多く、社内だけで本数を増やすのは簡単ではありません。
当社(株式会社zokujin)が運営するZideaは、LPのURLを入れるだけで、AIが訴求軸の分析から台本・絵コンテ・動画広告の制作までを行うサービスです。AIアバター、映像生成、編集、効果音やモーションなどの演出まで1つのツールで扱え、台本・映像・テロップ・演出などは細かく編集できます。訴求違いの動画広告をまとめて作り、配信・分析・改善まで同じ流れで回せます。
当社の自社運用での実証では、1本の制作時間が8時間から30分に、1本の制作コストが20,000円から2,000円以下になり、検証できる本数は1本から20本に増えました(お客様の成果ではなく、当社自身の運用結果です)。
試すには無料アカウントの作成が必要です。新規登録で4,400円分のクレジットがもらえ、カード登録は不要です。

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まとめ:内製化を始める前のチェックリスト
- 内製化の目的(コスト・スピード・ノウハウ)と、判断する指標を決めたか
- 広告アカウントと計測の設定を、自社が管理者として持てているか
- 過去の配信データとレポートを、自社で見られる形で受け取ったか
- 社内に持つ工程と、外に任せる工程を決めたか
- 「何を成果とするか」「どの訴求で勝負するか」「結果をどう判断するか」を社内で決められるか
- 週・月の運用の型と、記録の残し方を決めたか
- 検証用のクリエイティブを、社内で作れる体制があるか
- 担当者1人に任せきりにしていないか



