生成AIで作った広告が、SNSで批判を受けて取り下げられる。こうした話を聞くと、「AIを広告に使うのは怖い」と感じるかもしれません。けれど、炎上した例を一つずつ見ていくと、何が引き金になったのかには、はっきりした型があります。型が分かれば、公開の前に確かめることで、多くは防げます。
この記事では、国内外の生成AIの広告で批判を受けた11の事例を、原因ごとに整理しました。そのうえで、型ごとの防ぎ方、受け手が生成AIの広告をどう見ているかの調査、文化庁や各媒体の公式のルールを紹介します。
炎上の原因は、6つの型に分けられる

| 型 | 何が起きるか | 事例 |
|---|---|---|
| 不自然な描写 | 手や指、食器、文字が崩れる。表情や動きが不気味に見える | JAL Luxury Card、セブン-イレブンの一部店舗、マクドナルド オランダ |
| 既存の作品への似すぎ | アニメやキャラクターなど、ほかの作品にそっくりに見える | ウテナ |
| 実在の人物や声 | 本人の許諾なく、実在の人に似せる | (政治・社会問題の広告では各媒体が開示を義務づけている) |
| 文脈や敬意のずれ | つくり手への敬意を欠く、季節や価値観に合わない、AIを使う理由が見えない | Filmarks、池袋アニメーションフィルハーモニー、日本マクドナルド、Coca-Cola、Toys"R"Us |
| AIを使ったことの説明不足 | AIで作ったことの表示が小さく、見落とされる | Guess(Vogueの広告) |
| 事実と違う表示 | 商品や場所、出来事が、実物と違う | JAL Luxury Card、福岡のPR記事 |
6つの型ごとに、何が起きたのか、どう防ぐのかを見ていきます。1つの事例が、2つの型にまたがることもあります。
型1:不自然な描写
手や指、食器、文字が崩れたり、表情や動きが不気味に見えたりする型です。
事例
| 企業 | 時期 | 何が批判されたか | 対応 |
|---|---|---|---|
| JAL Luxury Card(日本) | 2025年8月 | 紹介ページの生成AIの画像で、ストローの刺さったポップコーン、実物と違うフォーク、指の不自然さ | 画像をすべて差し替え |
| セブン-イレブン(一部の店舗・日本) | 2026年9月 | 一部の加盟店が生成AIで作った店頭の掲示物の、絵柄の不自然さ。指示文がそのまま出ていた | 本部の販促物ではAIを使っていないと説明し、加盟店へ注意 |
| マクドナルド オランダ | 2025年12月 | AIで作ったクリスマスのCMが「不気味」 | 数日で削除 |
| Toys"R"Us(米国) | 2024年6月 | Soraで作ったブランドフィルムの不自然さ | 「テストであり、成功だった」と説明 |
この型から言えること:不自然さだけで取り下げになった例は少なく、JALのように差し替えで収まることが多い型です。ただし、店舗など本部の目が届かない場所で作られたものでも、ブランドの評判には跳ね返ります。
実際の投稿と動画
JALの件は、紹介ページの画像を指摘した1件の投稿が、約1,180万回表示されて広がりました。不自然さは、拡大して見られると一気に伝わります。

Toys"R"Usのブランドフィルムの予告編(Toys"R"Usの公式チャンネル)
防ぐには
- 手・指・食器・文字・ロゴは崩れやすいので、公開の前に拡大して確かめる
- 店舗や現場で作るものも含め、AIで作った販促物を誰が確かめるかを決めておく
型2:既存の作品への似すぎ
アニメやキャラクターなど、ほかの作品にそっくりに見える型です。著作権の問題にもなり得ます。
事例
| 企業 | 時期 | 何が批判されたか | 対応 |
|---|---|---|---|
| ウテナ(日本) | 2026年5月 | 全編を生成AIで作ったアニメと交通広告が、既存のアニメによく似ていると指摘された | 謝罪し、動画を削除、交通広告を撤去。チェックの体制を見直す |
この型から言えること:一度の指摘で、動画の削除から交通広告の撤去まで進んだ、影響の大きい型です。AIで作った本人に、似せるつもりがなくても起きるので、公開前の確認が欠かせません。
実際の投稿
ウテナは、指摘が広がってから数日で、公式のXに謝罪と対応を出しました。動画の削除、交通広告の撤去、チェック体制の見直しまでが1枚にまとまっています。

謝罪文では、法律の確認はしていたものの、「既存作品との類似性を含めたご指摘」について、あらためて専門家に確認すると書かれています。法律に触れないことと、似ていると受け取られないことは、別に確かめる必要があります。
防ぐには
- 作品名・キャラクター名・作家名を、プロンプトに入れない
- 既存の作品の画像を、そのまま入力しない
- 出来上がりがほかの作品に似ていないかを、公開の前に人が見る
型3:実在の人物や声
本人の許諾なく、実在の人の顔や声に似せる型です。今回集めた広告の炎上事例にはありませんが、各媒体はルールで定めています。MetaとGoogleは、政治・社会問題の広告で、本物に見える合成の画像・動画・音声の開示を義務づけています。
防ぐには
- 実在の人に似せる場合は、本人の許諾を取る
- 社員などをモデルにする場合も、同意を取ってから作る
型4:文脈や敬意のずれ
作り手への敬意を欠く、季節や価値観に合わない、AIを使う理由が見えない型です。国内の炎上は、この型が引き金になることが多く見られます。
事例
| 企業・団体 | 時期 | 何が批判されたか | 対応 |
|---|---|---|---|
| 池袋アニメーションフィルハーモニー(日本) | 2024年6月 | 告知の画像に生成AIを使い、出演予定の歌手が「アニメ音楽に関わる立場として好ましくない」と出演を辞退 | 謝罪し、イラストレーターの作品に差し替え。チケットの返金にも対応 |
| Filmarks(日本) | 2024年7月 | 全編をAIで作ったWeb CMに、映画や作り手への敬意を欠くという声 | 4日後に謝罪し、動画を削除 |
| 日本マクドナルド | 2024年8月 | 生成AIで作ったポテトのアニメ動画に「AIである必要がない」「AIを使うことが目的になっている」 | 謝罪や削除は報じられていない |
| Coca-Cola(米国) | 2024年11月 | 名作CMのAI版に「魂がない」。人の俳優や実物を置き換えたことへの反発 | 続行し、2025年もAIで制作 |
| マクドナルド オランダ | 2025年12月 | クリスマスを否定的に描いた内容への反発 | 数日で削除 |
この型から言えること:国内では、いちばん多くの事例がこの型です。とくにアニメ・映画・音楽など、作り手への敬意が強い分野に近いほど、反発が強くなっています。問われているのは映像の出来よりも、「なぜAIで作ったのか」です。
実際の投稿と動画
同じ型でも、対応は分かれています。Filmarksは謝罪して動画を消しましたが、日本マクドナルドの投稿は今も残り、Coca-Colaは翌年もAIで作りました。違いは、作り手への敬意が問われる分野に近いかどうかです。


反発を受けた翌年も、AIで作ったCoca-Cola「Holidays Are Coming」2025年版(Coca-Colaの公式チャンネル)
マクドナルド オランダのAIのクリスマスCMの取り下げを伝える報道(New York Postのチャンネル)
防ぐには
- 「全編AI」「数時間で制作」を、宣伝の主役にしない
- アニメ・映画・音楽など、作り手への敬意が強い分野では、とくに慎重にする
- なぜAIで作るのか(AIでしかできない表現か)を、説明できるようにする
型5:AIを使ったことの説明不足
AIで作ったことの表示が小さく、見落とされる型です。
事例
| 企業 | 時期 | 何が批判されたか | 対応 |
|---|---|---|---|
| Guess(Vogueの広告・米国) | 2025年8月 | AIで作ったモデルを起用し、AIの表示が小さく見落としやすい。非現実的な美の基準や、モデルの仕事への懸念も | 制作会社は「モデルを置き換えるものではない」と主張 |
この型から言えること:表示をしていても、小さくて見落とされれば、隠したのと同じように受け取られます。JIAAの調査でも、受け入れやすくなる条件の1位は「AIを使ったことの明記」でした。
実際の動画
Guessの件は、米国のテレビでも取り上げられました。AIの表示はあったものの、小さくて気づかれにくかった点が話題になっています。
Vogueに載ったGuessの、AIで作ったモデルの広告を伝える報道(Good Morning Americaのチャンネル)
受け手が気づいたあとで「AIだった」と知ると、隠されていたように感じます。AIで作ったことは、最初から目に入る大きさで伝えるほうが、反発を招きにくくなります。
防ぐには
- 本物に見える人物や出来事には、各媒体の開示の機能を使う
- 紙面や画面の表示は、読める大きさにする
型6:事実と違う表示
商品や場所、出来事が、実物と違う型です。景品表示法の優良誤認にもなり得ます。
事例
| 企業・団体 | 時期 | 何が批判されたか | 対応 |
|---|---|---|---|
| JAL Luxury Card(日本) | 2025年8月 | 実物と違うフォークなど、商品の周りの描写が実物と違った | 画像をすべて差し替え |
| 福岡のPRプロジェクト(日本) | 2024年11月 | 生成AIで作った観光の紹介記事に、実在しない祭りや他県の施設が書かれていた | 全記事を削除し、発信を止めた |
この型から言えること:観光や商品など、読み手が実物を確かめに行くものほど、事実との違いは大きな問題になります。法律(景品表示法)の問題にもなり得るので、6つの型の中でも避けたい型です。
防ぐには
- 商品・価格・場所・イベントは、AIに描かせず、実物の写真や映像を使う
- AIは背景や演出にとどめ、商品が実物より良く見えないかを確かめる
6つの型を比べてわかること
国内の事例を並べると、謝罪や削除まで進んだものは、型2(似すぎ)、型4(敬意のずれ)、型6(事実と違う表示)のどれかに当たります。映像が少し不自然なだけでは、取り下げにまでは至らないことも多いようです。
(出典:ITmedia JAL、ITmedia セブン-イレブン、NBC News マクドナルド オランダ、NBC News Toys"R"Us、ITmedia ウテナ、ねとらぼ 池袋アニメーションフィルハーモニー、ITmedia Filmarks、ITmedia 日本マクドナルド、NBC News Coca-Cola、BBC Guess、ITmedia 福岡のPR記事)
受け手は、生成AIの広告をどう見ているか
日本インターネット広告協会(JIAA)が2026年2月に行ったユーザー意識調査(有効回答3,591)では、生成AIの広告について次の結果が出ています。
| 項目 | 結果 |
|---|---|
| 生成AIの広告への考え方 | 「条件が整えば活用してよい」が52.0%(「積極的に活用すべき」は4.3%) |
| いちばん多かったマイナスの印象 | 「本物らしさがない/不自然」が26.4%(10代では41.8%) |
| 受け入れやすくなる条件 | 1位「生成AIを活用していることが明記される」37.6%、2位「法律やガイドラインで規制されている」30.4%、3位「実在の人物やキャラクターの使用が、適切に許諾されていることが明記されている」26.8% |
(出典:JIAA「インターネット広告に関するユーザー意識調査」2026年8月6日)
JIAAも、この結果を「生成AI広告は『条件が整えば活用してよい』が5割超」という見出しで発表しています。

半数を超える人が、条件しだいでは生成AIの広告を受け入れると答えています。その条件の上位は、AIを使ったことの明記と、権利の扱いです。
公式のルールで押さえたいこと
著作権:似ているか、もとにしたか
文化庁の「AIと著作権に関する考え方について」では、AIで作ったものが著作権の侵害にあたるのは、既存の作品と似ていて(類似性)、しかもそれをもとにしている(依拠性)場合だとしています。作風や画風が似ているだけなら、侵害にはなりません。一方で、既存の作品そのものを入力する(Image to Image)ことや、作品名などの固有名詞をプロンプトに入れることは、依拠性が認められやすい例として挙げられています(出典:文化庁「AIと著作権について」、「AIと著作権に関する考え方について」本体)。
景品表示法:商品が実物より良く見えないか
AIで作った画像でも、商品の品質などを実際より著しく良く見せれば、景品表示法の優良誤認にあたるおそれがあります。消費者庁は、わざとでなく誤って表示した場合も規制の対象になるとしています(出典:消費者庁「優良誤認とは」)。
媒体:AIで作ったことの表示
| 媒体 | ルール |
|---|---|
| YouTube | 本物に見える改変・合成(実在の人物が言っていないことを言うなど)は開示が必要。明らかに現実ではない内容や軽い編集は不要。必要な開示を避けると、ラベルを付けられたり削除されたりすることがある |
| Meta | 生成AIで作ったり大きく編集したりした広告には「AI情報」のラベルが付く。政治・社会問題の広告では、本物に見える合成は開示が必須で、開示しないと不承認 |
| TikTok | 本物に見える場面や人物を含むAI生成コンテンツには、ラベル付けが必須 |
| Google 広告 | 選挙広告では、本物に見える合成の画像・動画・音声を、目に入る場所で開示する必要がある |
(出典:YouTube ヘルプ、Meta ビジネスヘルプ「AI情報」、Meta 広告ポリシー、TikTok コミュニティガイドライン、Google 広告ポリシー)
チェックを回しながら、AIで動画広告を作るには
型ごとの防ぎ方は、どれも作ったものを「人が見て、直す」ことで守れます。問題は、AIで作った動画を自分で直せないと、気になる部分を見つけても作り直すしかないことです。
当社が提供している動画広告AIのZideaでは、台本・映像・テロップ・演出を、場面ごとに自分で細かく直せます。商品のLPのURLを入れると、AIが訴求軸を分析して台本と絵コンテから動画まで作るので、まず全体を見て、崩れた手や違和感のある場面だけを差し替えられます。商品の写真やロゴは、自社の素材を使えます。参考にしたい広告の動画のリンクを入れれば、その構成を手本にしながら、自社の商品と素材で作れます。
株式会社zokujinは、Zideaを使ってクライアントの広告の制作と運用も行っています。当社の受託案件では、Meta広告で月約560万円を配信した約3か月の運用で、AIで作った動画を週ごとに入れ替え、CPAが24,000円から14,800円(-38%)に下がりました。
試すには無料アカウントの作成が必要です。新規登録すると絵コンテを1本無料で作れます。動画は7日間の無料トライアルがあります。

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まとめ:生成AIの広告を公開する前のチェックリスト
- ほかの作品に似ていないかを、人が見て確かめたか
- 商品・価格・場所・イベントは、実物の素材を使ったか
- 手・指・食器・文字・ロゴを、拡大して確かめたか
- 「AIで作った」こと自体を、宣伝の主役にしていないか
- 本物に見える人物や出来事に、各媒体の開示の機能を使ったか
- 実在の人に似せるなら、本人の許諾を取ったか
- 生成AIの広告の成果の事例は、生成AIの広告・マーケティング活用事例で紹介しています



