TikTok広告を始めたいけれど、広告の種類が多く、費用もいくらかかるのか分からない。出稿の手順を調べて配信まではできても、どんな動画を作れば成果が出るのかで手が止まる。TikTok広告を任された担当者の多くが、ここでつまずきます。
この記事では、TikTok広告の種類、費用の仕組み、出し方の手順、入稿の決まりを、TikTokの公式情報をもとに整理します。そのうえで、成果が出る動画の作り方を、台本の例とAIでの作り方まで具体的に解説します。
TikTok広告とは:ショート動画の流れの中に出る広告
TikTok広告は、ショート動画アプリのTikTokに配信できる広告です。もっとも基本の形は、利用者がおすすめの動画を縦にスクロールしていく流れの中に、通常の投稿と同じ見た目で動画広告を表示するものです。
| 特徴 | 実務での意味 |
|---|---|
| 縦型・全画面・音ありで見られる | 画面いっぱいの縦型動画で、音を前提に作る |
| 通常の投稿と並んで流れる | 広告らしい作り込みより、投稿に近い見た目の方がなじむ |
| すぐにスワイプされる | 最初の数秒で見る理由を作れないと、続きを見てもらえない |
つまり、TikTok広告の成果は、配信の設定以上に動画そのもので決まります。この記事の後半で、動画の作り方を詳しく扱います。
TikTok広告の主な種類
主な広告の種類は次の4つです(TikTok広告ヘルプ、2026年10月時点)。
| 種類 | どこに出るか | 買い方 | 向いている目的 |
|---|---|---|---|
| インフィード広告 | おすすめなどのフィードの中に、投稿と同じ見た目で出る | 運用型(オークション) | 獲得、認知のどちらにも使える基本の形 |
| Spark Ads | 自社アカウントやクリエイターの投稿を、そのまま広告として出す | 運用型、予約型 | 投稿に近い自然さを活かしたい。いいねやフォローを元の投稿に積み上げたい |
| TopView | アプリを開いた直後に最初に出る。最初の3秒は全画面で表示される | 予約型(表示回数で購入) | 大きな認知。新商品の発表など |
| ブランドエフェクト | ブランド独自のARフィルターやエフェクトを、利用者が投稿に使う | 営業担当を通して進める | 利用者を巻き込んだ話題づくり |
(出典:TikTok広告ヘルプ インフィード広告、Spark Ads、TopView、ブランドエフェクト)
どれから始めるか:自社で運用しながら成果を見たいなら、インフィード広告から始めるのが基本です。Spark Adsは、クリエイターの投稿に許可をもらって広告として配信できるので、投稿が伸びた動画を広告に回したいときに使います。TopViewとブランドエフェクトは、営業担当を通す大型の施策です。
TikTok広告の費用:課金の仕組みと最低予算
TikTok広告の配信費は、広告主が予算と入札を決める仕組みです。課金の方式は、次の中から選びます。
| 課金の方式 | 料金がかかるとき |
|---|---|
| CPM | 表示1,000回ごと |
| oCPM | 表示ごと(特定の行動を取りそうな人に向けて配信を最適化する) |
| CPV | 6秒以上見られたとき、または最初の6秒の間に操作されたときなど |
| CPC | クリックされたとき |
予算には最低額があり、日予算はキャンペーンで50米ドル以上、広告グループで20米ドル以上が必要です(出典:TikTok広告ヘルプ 入札方法、予算)。
実務では、配信費に加えて動画の制作費がかかります。TikTokは同じ動画を流し続けると反応が落ちやすいため、制作費は「1本をいくらで作るか」より「何本を作って入れ替えられるか」で考えます。制作費の目安は動画広告の作り方の費用の章で、依頼先ごとの公式の料金をまとめています。
配信を始めたばかりは成果が安定しない:学習期間の考え方
当社の運用の経験では、配信を始めたばかりの広告は、成果がまず安定しません。広告アカウントにまだデータがたまっておらず、配信先を選ぶTikTokのAIが、どんな人に届けると成果が出るのかを学習できていないためです。TikTokは、成果が約25件たまるか7日がたつと、成果の変動が落ち着き始めるとしています。また、学習期間中は、キャンペーンや広告グループの一時停止、学習をやり直させるような編集、不適切な予算や動画の本数の設定を避けるように案内しています(出典:TikTok広告ヘルプ「学習期間」)。最初の数日は調子が出なくても、慌てて止めたり設定を何度も変えたりしないことが大切です。
学習期間をどう乗り切るかは、実務では次のように考えます。
| やり方 | 良いところ | 気をつけること |
|---|---|---|
| ターゲットを手動で絞る | 最初から狙った人に届けられる | どこを絞るかの現場感が要る。成果の出る思わぬ層を見逃すおそれがある |
| 最初は、学習させる地点(最適化の目標)をクリックなどに置く | 件数が集まりやすく、AIの学習が早く進む | クリックする人と購入する人は同じとは限らない。データがたまったら目標を切り替える |
| 最初から、申し込みや購入(CV)を学習させる地点に置く | 成果に直結する人を正確に学習できる | 件数が少ないと、学習に時間がかかる |
ターゲットは広めに置いてAIに探させ、最初はクリックなど件数の集まりやすい地点で学習を進め、データがたまったらCVに切り替える、というのが進め方の1つです。
TikTok広告の出し方:アカウント作成から配信まで
TikTok広告は、広告マネージャーで次の順に作ります。

1. 広告マネージャーのアカウントを作る
TikTok for Businessの登録ページから、メールアドレスか電話番号でアカウントを作り、国・地域、業種、会社名、タイムゾーン、通貨などの広告主の情報と、支払い方法を登録します。アカウントの承認は、多くの場合24時間以内に終わります。
2. キャンペーンを作る:目的と予算を決める
キャンペーンでは、広告の目的(サイトへのアクセス、購入や申し込み、アプリのインストールなど)と、予算の考え方を決めます。
3. 広告グループを作る:誰に、どこに、どう出すかを決める
広告グループでは、配信面、ターゲティング(地域、性別、年齢、言語、興味・関心、行動、自社の顧客リストをもとにしたオーディエンスなど)、予算とスケジュール、最適化の目標、入札の方法を決めます。
4. 広告を作る:動画と文面を入れる
広告では、動画をアップロードし、広告の文面、行動を促すボタン(CTA)、表示名とプロフィール画像、計測の設定を入れます。1つの広告グループに、違う動画を複数入れて比べるのが基本です。
5. 審査を待って配信する
設定が終わると、広告は自動で審査されます。審査は通常24時間以内に終わります。配信地域や動画、文面を編集すると、再び審査されます。
(出典:TikTok広告ヘルプ アカウントの作成、広告の構造、審査について)
TikTok広告の入稿の決まり:サイズ・長さ・音楽
インフィード広告の動画は、次の決まりに沿って作ります。
| 項目 | 決まり |
|---|---|
| 縦横比 | 縦9:16が推奨(横16:9、正方形1:1も可) |
| 解像度 | 縦型は540×960ピクセル以上 |
| 長さ | 5秒以上10分以内(5秒未満や10分を超える動画は審査で却下される) |
| ファイル | 500MB以下 |
| 文字を置く範囲 | 画面の端は、ボタンや説明文に隠れる。隠れない範囲(セーフゾーン)は説明文の長さなどで変わるため、公式のテンプレートで確かめる |
| 音楽 | 動画広告では、商用利用の許可が済んだ「商用音楽ライブラリ」の楽曲を使う |
(出典:TikTok広告ヘルプ インフィード広告、商用音楽ライブラリ)
音楽は特に注意が必要です。TikTokで流行っている曲でも、一般の楽曲を広告に使うことはできません。他の人の楽曲を使う場合は、自社の法務と相談して許可を取るように案内されています。
成果が出るTikTok広告の動画の作り方
ここからが、TikTok広告の成果をもっとも大きく左右する部分です。TikTokの公式の推奨と、当社の制作の考え方をあわせて、実務で何をすればよいかを説明します。

TikTokの公式の推奨
TikTokは、動画のクリエイティブについて次のことを推奨しています(出典:TikTok広告ヘルプ「クリエイティブのベストプラクティス」)。
- 縦9:16、720p以上で、音ありで作る
- 見る理由になる「フック」を、最初の6秒以内に置く
- 何の広告か(伝えたいこと)を、最初の3秒で伝える
- 作り込みすぎない、手作り感のある見た目にする
- クリエイター、社員、お客様に出てもらう
- 1つの広告グループに、大きく違う動画を3〜5本入れて比べる
実務での作り方:訴求1つ、冒頭3秒、台本
公式の推奨を、実際の動画づくりに落とし込むと、次の3つになります。
- 訴求を1つに決める:見る人に一番伝えたい便益を1つだけ選びます。TikTokの動画は短いので、2つ以上入れると何も残りません。
- 冒頭3秒で「自分のことだ」と思わせる:商品名から入らず、見る人の悩みや、よくある場面を言い当てるところから始めます。
- 台本は、話しかける言葉で書く:投稿に近い見た目で流れるため、ナレーションも、友人に話しかけるような言葉の方がなじみます。
15秒の台本の例(架空の商品)
朝のメイク、5分で終わらせたくないですか。でも、下地とファンデを分けると時間がかかる。だから、これ1本にしました。塗って、なじませて、終わり。しかも、夕方まで崩れにくい。レビューでいちばん多いのは「朝が楽になった」という声です。気になった人は、下のボタンから。
- 0〜3秒:見る人の悩み(朝のメイクの時間)を、問いかけで言い当てる
- 3〜11秒:「でも」「だから」「しかも」の接続語で次を予告しながら、便益(1本で終わる)と根拠を伝える
- 11〜15秒:実際に集まった声として言える形で反応を伝え、何をしてほしいかを言う
台本と構成の作り方は、動画広告の作り方で、書き直し前と後の例とあわせて詳しく解説しています。
比べ方:大きく違う動画を3〜5本
1つの広告グループに入れる動画は、細かい違いではなく、訴求や冒頭が大きく違うものにします。たとえば、同じ商品でも「時短」「仕上がり」「価格」の3つの訴求で1本ずつ作り、どの訴求が効くかを見ます。効いた訴求が分かったら、その訴求のまま冒頭だけを変えた動画を作って、次の比較に進みます。
AIでTikTok広告の動画を作る方法と注意点
TikTok広告は、大きく違う動画を何本も作って比べることが前提なので、動画の本数がそのまま成果につながりやすい媒体です。AIを使うと、この本数を少ない手間で用意できます。
| 方法 | 内容 |
|---|---|
| TikTokのAI機能(Symphony Creative Studio) | 商品のURLやブランドの情報から、広告用の動画を作る。AIアバター、台本、翻訳・吹き替えの機能もある |
| 広告に特化したAIツール | 商品のページから、訴求・台本・映像・テロップまでそろった動画広告を作り、訴求や冒頭を変えたパターンを並べる |
(出典:TikTok Symphony Creative Studio)
AIで作った動画をTikTokに出すときは、次の2点を必ず守ります。
- AIで作ったことを表示する:TikTokでは、すべてAIで作った動画や、実在の人物がしていない行動を描いた動画などには、AIGCラベルか、分かりやすい注記・字幕・透かしが必要です。表示がないと、広告は却下・制限されます(出典:TikTok広告ポリシー)。
- AIの人物に、実在しない体験を語らせない:「使ってみたらこう変わった」のような体験談は、実際に集まったお客様の声の範囲で書きます。
AI動画広告の作り方の違いや、「AIっぽい」と思われないための直し方は、AI動画広告の作り方で、広告に使うときの権利や規約の注意は動画生成AIの商用利用で解説しています。
TikTok広告を出すときの注意点
- 審査で却下されやすい表現を避ける:誤解を招く表現、事実でない情報、過度に衝撃的な表現、他者の知的財産の侵害は、審査で却下されます。広告とリンク先のページの内容が合っていないことも、却下の理由になります。
- 年齢などの制限がある商材を確かめる:お酒やエナジードリンクのように、配信できる年齢や表現に制限がある商材があります。自社の商材の決まりを、TikTokの広告ポリシーで確かめます。
- 音楽は商用音楽ライブラリから選ぶ:流行っている一般の楽曲を、そのまま広告に使わないようにします。
- 広告であることが分かるようにする:クリエイターの投稿を広告に使うときも、広告であることが分かるようにします(ステルスマーケティングの規制)。
(出典:TikTok広告ヘルプ 審査について、TikTok広告ポリシー お酒)
TikTok広告の動画をAIで量産する:Zidea(当社サービス)
当社(株式会社zokujin)が運営するZideaは、LPのURLを入れるだけで、AIが訴求軸の分析から台本・絵コンテ・動画広告の制作までを行う、動画広告に特化したサービスです。AIアバター、映像生成、編集、効果音やモーションなどの演出まで1つのツールで扱え、台本・映像・テロップ・演出は細かく編集できます。TikTok広告で比べるための、訴求や冒頭が違う縦型の動画広告を、まとめて作れます。
当社の自社運用での実証では、1本の制作時間が8時間から30分に、検証できる本数が1本から20本に増えました(お客様の成果ではなく、当社自身の運用結果です)。
試すには無料アカウントの作成が必要です。新規登録で4,400円分のクレジットがもらえ、カード登録は不要です。

こんな広告動画が、URL ひとつで
まとめ:TikTok広告を始める前のチェックリスト
- 広告の種類(まずはインフィード広告か、Spark Adsか)を決めたか
- 課金の方式と、最低予算(キャンペーン50米ドル、広告グループ20米ドルの日予算)を確かめたか
- 広告マネージャーで、目的・ターゲティング・予算を決め、審査の時間(通常24時間以内)を見込んだか
- 動画は縦9:16で、5秒以上10分以内、文字はセーフゾーンの中に置いたか
- 音楽は商用音楽ライブラリから選んだか
- 訴求を1つに絞り、最初の3秒で見る人の悩みや場面を言い当てているか
- 1つの広告グループに、大きく違う動画を3〜5本入れたか
- AIで作った動画に、AIGCラベルなどの表示を付けたか



