YouTube広告を始めたいが、月にいくら用意すればよいのか分からない。調べると「1回の視聴で数円から」「月数十万円から」とさまざまな数字が出てきますが、自社の商品だといくらになるのかは見えてきません。社内で予算を通すには、根拠のある金額が必要です。
この記事では、YouTube広告にかかる費用を、配信費・動画の制作費・運用の手間の3つに分けて、Googleの公式ヘルプをもとに整理します。そのうえで、目標のCPA(1件の成果にかけてよい金額)から月の予算を逆算する方法と、費用を左右する「動画の本数」をAIで抑える方法を、計算例つきで解説します。
先に結論:YouTube広告の費用は3つに分かれる
YouTube広告の費用は、次の3つの合計です。
| 費用の種類 | 何にかかるか | 金額を決めるもの |
|---|---|---|
| 配信費 | Googleに払う広告の掲載料 | 予算、入札、ターゲティング、動画の反応 |
| 動画の制作費 | 広告に使う動画を作る費用 | 1本の単価 × 必要な本数 × 入れ替えの回数 |
| 運用の手間 | 設定、分析、動画の入れ替えをする人の時間、または代理店への支払い | 自社で運用するか、外に頼むか |
多くの記事は、1回の視聴や表示の単価の相場だけを扱います。しかし実務では、目標のCPAから逆算した配信費と、比べるために必要な動画の本数で総額が決まります。予算を組むときは、配信費と制作費をセットで考えます。
配信費:料金がかかるタイミングは広告の種類で決まる
YouTube広告の配信費は、広告主が決めた予算の中で、オークションによって決まります。料金がかかるタイミングは、広告の種類ごとに次のとおりです。
| 広告の種類 | 料金がかかるとき |
|---|---|
| スキップ可能なインストリーム広告 | 30秒見られたとき(30秒未満の広告は最後まで)か、広告が操作されたとき(広告視聴単価)。表示回数で払う方式(目標インプレッション単価)も選べる |
| スキップ不可のインストリーム広告 | 表示回数に応じて(目標インプレッション単価) |
| バンパー広告 | 表示回数に応じて(目標インプレッション単価) |
| インフィード動画広告 | クリックされたときか、クリック後に10秒以上見られたとき |
| ショートの広告 | 10秒見られたときか、ボタンなどが押されたとき(広告視聴単価)。表示回数で払う方式も選べる |
| マストヘッド広告 | 予約制。表示回数(CPM)か、時間あたり(CPH)で買う |
(出典:Google広告ヘルプ「YouTube 動画広告フォーマットの概要」)
実務での選び方:購入や申し込みを増やしたい会社は、「目標コンバージョン単価」や「コンバージョン数の最大化」などの入札戦略を使うのが基本です。この場合、見るべき数字は1回の視聴や表示の単価ではなく、1件の成果にかかった金額(CPA)です。視聴の単価が安くても、成果につながらなければ意味がありません。
相場の数字について:Googleの公式ヘルプには、視聴単価や表示単価の相場は載っていません。単価は、入札、ターゲティング、時期、そして動画の反応によって変わるためです。自社の場合の目安を知るには、Google広告でキャンペーンを作るときに表示される見込みの数字を見るか、少額で配信して実際の単価を測ります。
予算の決まり:1日の平均予算と、その上限
Google広告の予算は、「1日の平均予算」で決めます(キャンペーン全体の予算で決める方法もあります)。
- 1日に使われる金額は、日によって増減する:ほとんどのキャンペーンでは、1日の費用は最大で1日の平均予算の2倍まで使われることがあります
- 月の上限は、1日の平均予算の30.4倍:日ごとに増減しても、ほとんどのキャンペーンでは、1か月の費用は1日の平均予算 × 30.4 を超えません
(出典:Google広告ヘルプ「1 日の平均予算について」)
たとえば1日の平均予算を5,000円にすると、ある日は最大1万円まで使われることがありますが、1か月の費用は5,000円 × 30.4 = 約15万2,000円を超えません。社内で予算を通すときは、この「1日の平均予算 × 30.4」を月の上限として見せます。
ただし、この上限は「使いすぎない」ための決まりで、成果を出すために必要な金額とは別です。予算が少なすぎると、GoogleのAIが「どんな人に届けると成果が出るか」を学ぶためのデータが集まらず、成果が安定しないまま終わりやすくなります。成果を出すための予算は、次の章のように目標のCPAから逆算します。
成果が出る予算の組み方:目標CPAから逆算する
Googleは、YouTubeで成果を出すための推奨として、入札戦略ごとに1日の予算の目安を示しています。
| 入札戦略 | 1日の予算の目安 |
|---|---|
| 最大化の戦略(コンバージョン数の最大化、コンバージョン値の最大化) | 1日10,000円以上 |
| 目標値の戦略(目標アクション単価、目標広告費用対効果) | 目標アクション単価の10倍以上 |
(出典:Google広告ヘルプ「YouTube Performance Four」。デマンド ジェネレーション キャンペーンでも、予算は目標アクション単価の10倍以上が推奨されています:「デマンド ジェネレーション キャンペーンのパフォーマンス ガイド」)

計算例(架空の通販商品)
- 目標CPA:購入1件あたり5,000円
- 目標アクション単価の戦略を使う場合、1日の予算の目安は5,000円 × 10倍 = 1日5万円
- 月の配信費の上限は、5万円 × 30.4 = 月約152万円
予算が限られる場合は、最大化の戦略で1日1万円から始める方法もあります。この場合、月の配信費の上限は1万円 × 30.4 = 月約30万4,000円です。
この差が、予算の少ない会社が最初に考えるべきところです。Googleは、購入のような成果で最適化するときは、ページの閲覧やカートへの追加など、手前の成果もデータとして使うと、立ち上がりが速くなるとしています(出典:YouTube Performance Four)。当社の運用の経験でも、購入のような深い成果を学習の目標にすると、学習は正確ですが、成果が1日に何件も出ない予算では学習が進まず、時間がかかります。予算が限られるうちは、件数が多く出る手前の成果からデータをためる進め方も取れます。
社内で予算を通すときは、「目標CPA × 10倍 × 30.4」の式と、出典のGoogleの公式の目安をそのまま見せると、金額の根拠を説明しやすくなります。
予約型の広告(マストヘッド)の費用
ここまでの話は、オークションで配信される運用型の広告です。これとは別に、YouTubeのホームの一番上に出るマストヘッド広告は、表示枠を事前に予約して買います。表示回数(CPM)か、時間あたり(CPH)で買う予約制です(出典:Google広告ヘルプ「YouTube 動画広告フォーマットの概要」)。
マストヘッド広告は料金が公開されておらず、Googleの営業担当を通して申し込む大型の施策です。新商品の発売など、短い期間で一気に認知を取りたいときに検討します。獲得が目的で、これからYouTube広告を始める会社は、まず運用型の広告から始めるのが基本です。
動画の制作費:「1本の単価」より「必要な本数」で決まる
Googleは、YouTubeで成果を出すための推奨として、動画と画像を、横向き・スクエア・縦向きのすべての向きでそろえることを挙げています。デマンド ジェネレーションのキャンペーンでは、縦向き・スクエア・横向きの動画を1本ずつ入れた広告を1つ以上用意することを、クリエイティブの多様さの基準としています(出典:YouTube Performance Four)。
これは1つの訴求あたりの最低限です。実務では、訴求や冒頭を変えた動画を比べて当たりを探すので、たとえば3つの訴求を比べるなら、3つの訴求 × 3つの向き = 9本の動画が必要になります。
| 作り方 | 1本の目安 | 9本を作ると |
|---|---|---|
| 制作会社(SNS向けの短い動画) | 約3万円(JPC:月4本で12万円、税別) | 約27万円 |
| 制作会社(広告用の動画) | 約35万円(JPC:30秒前後、税別) | 約315万円 |
| AIで作る(Zidea、当社) | Standardプラン月額29,800円で約17本分 | 月額29,800円の範囲に収まる |
(出典:JPC 料金。依頼先ごとの料金は動画広告の作り方の費用の章でまとめています)
前の章の計算例で、配信費が月30万円の会社が、制作会社に広告用の動画を9本頼むと、制作費だけで約315万円になり、配信費を大きく上回ります。制作費を少ない本数に集中させると、比べる本数も、判断できるだけの配信費も残りません。 予算を組むときは、先に「何本で比べるか」を決めてから、制作費と配信費を割り振ります。
運用を自社でするか、代理店に頼むか
運用の手間にかかる費用は、自社で運用するか、代理店に頼むかで変わります。
| 自社で運用する | 代理店に頼む | |
|---|---|---|
| お金 | 配信費と制作費だけ。担当者の人件費は社内でかかる | 配信費と制作費に加えて、代理店の手数料。料金の決め方(広告費に対する割合、月の固定額など)は代理店ごとに違う |
| 向いている会社 | 担当者が週に数時間、数字を見て動画を入れ替えられる。少額から始めたい | 社内に運用できる人がいない。予算が大きく、早く立ち上げたい |
| 気をつけること | 学習期間中に設定を何度も変えない(次の章) | 動画の制作が含まれるか、何本まで作るか、配信のデータや広告アカウントを自社で持てるかを見積もりで確かめる |
代理店に頼む場合も、動画の本数が足りないと成果は伸びにくいので、制作が手数料に含まれるのか、別料金なのかは必ず確かめます。
費用を無駄にしない運用のコツ
Googleの公式の推奨をもとに、配信費を無駄にしないための決まりを整理します。
- 成果が50件たまるまでは評価しない:Googleは、データが十分にたまるまでキャンペーンは「学習中」と表示され、少なくとも50件のコンバージョンが出るまでは成果を評価しないよう推奨しています(出典:YouTube Performance Four)
- 予算と入札は少しずつ変える:設定を変えると学習がやり直しになるため、入札単価と予算は、週に5〜10%(大きくても15%まで)ずつ調整するよう推奨しています(同ヘルプ)
- 変えたら、成果がたまるまで待つ:デマンド ジェネレーションのキャンペーンでは、変更後に30〜50件のコンバージョンが出るまで待ってから成果を評価するよう推奨しています(出典:デマンド ジェネレーション キャンペーンのパフォーマンス ガイド)
- 計測を先に整える:申し込みや購入をGoogle広告で正しく計測できていないと、AIが学習できず、配信費が無駄になりやすくなります
当社の経験でも、配信を始めたばかりの広告は成果がまず安定しません。最初の数日の数字で慌てて止めたり、設定を何度も変えたりすると、学習がやり直しになり、配信費がかさみます。YouTube広告の種類と出し方は、YouTube広告の出し方の記事で解説しています。
動画の本数をそろえる費用を抑える:Zidea(当社サービス)
当社(株式会社zokujin)が運営するZideaは、LPのURLを入れるだけで、AIが訴求軸の分析から台本・絵コンテ・動画広告の制作までを行う、動画広告に特化したサービスです。AIアバター、映像生成、編集、効果音やモーションなどの演出まで1つのツールで扱えるので、訴求を変えた何本もの動画を、撮影なしでそろえられます。台本・映像・テロップ・演出は細かく直せます。
参考にしたい広告の動画のリンクを渡せば、その構成や映像を自社の広告に横展開することもできます。YouTubeで見かけた競合の広告のリンクを貼るだけで、手本にした広告から始められます。
料金は、Lightプランが月額9,800円(約5本分)、Standardプランが月額29,800円(約17本分)、Proプランが月額59,800円(約35本分)です。
当社の自社運用での実証では、1本の制作コストが2万円から2,000円以下に、検証できる本数が1本から20本に増えました(お客様の成果ではなく、当社自身の運用結果です)。
試すには無料アカウントの作成が必要です。新規登録すると絵コンテを1本無料で作れます。動画は7日間の無料トライアルで、カード登録が必要です。

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まとめ:YouTube広告の予算を組む前のチェックリスト
- 費用を、配信費・動画の制作費・運用の手間の3つに分けて考えたか
- 目標のCPA(1件の成果にかけてよい金額)を決めたか
- 「目標CPA × 10倍」、または「1日1万円以上」で1日の予算を出したか
- 「1日の平均予算 × 30.4」で、月の配信費の上限を出したか
- 比べる訴求の数と、向き(縦・スクエア・横)から、必要な動画の本数を出したか
- 動画の制作費が、配信費を圧迫していないか確かめたか
- 成果が50件たまるまで、慌てて設定を変えない予定を立てたか



