SNSの運用は、ネタを考え、投稿文を書き、画像や動画を作り、投稿して、数字を見て、コメントに返す、の繰り返しです。どれも1回なら大した手間ではありませんが、週に何本も続けると、担当者の時間はほとんどこれで埋まります。そこで「AIに任せられるところは任せたい」と考える人が増えています。
GiftXが2026年6月に行った調査では、生成AIを使っているマーケティング職100人のうち、20%がSNS運用やSEO記事の作成に生成AIを使っていると答えました。まだ5人に1人ですが、データ分析(30%)や資料の作成(29%)と並ぶ使い道になっています。
この記事では、SNS運用の仕事を5つの工程に分け、工程ごとにAIに任せられること、人が決めることを整理します。とくに手間のかかる動画については、演者がいなくても続けられる作り方まで解説します。
SNS運用でAIに任せられることを、工程ごとに整理する
SNS運用の仕事は、大きく5つの工程に分けられます。AIが得意なのは「たたき台を速く、たくさん出すこと」です。反対に、何を発信するか、出してよいかを決めるのは人の仕事です。
下の図は、5つの工程と、それぞれでAIに任せることをまとめたものです。

| 工程 | AIに任せられること | 人が決めること |
|---|---|---|
| 企画とネタ出し | 投稿のネタの候補、月の投稿カレンダーの下書き、反応がよかった投稿の共通点の整理 | アカウントで何を伝えるか、どのネタを採るか |
| 投稿文とハッシュタグ | 投稿文の下書き、言い回しの候補、ハッシュタグの候補 | 事実が正しいか、ブランドの言葉づかいに合うか |
| 画像と動画 | 画像の生成、動画の生成、字幕、翻訳と吹き替え、編集の初稿 | 見せてよい表現か、実在の人や作品に似ていないか |
| 投稿と分析 | 数字の集計、伸びた投稿・伸びなかった投稿の比較、次の改善案の候補 | 次に何を試すか |
| コメントとDMへの返信 | 返信文の下書き、問い合わせの分類 | 送ってよい内容か(とくにクレームや個別の相談) |
この表から言えること:AIに任せられるのは、どの工程でも「下書き」と「集計」です。決めることまでAIに渡すと、事実の誤りやブランドに合わない投稿がそのまま出てしまいます。いちばん時間を減らせるのは、作業の量が多い画像と動画の工程です。
以下では、工程ごとに、AIへの頼み方と注意点を見ていきます。
工程1:企画とネタ出し
ネタ出しは、AIに任せやすい工程です。ゼロから考えるより、AIが出した候補から選ぶほうが速く、偏りも減ります。
AIへの頼み方
頼むときは、アカウントの目的、見てほしい人、これまで反応がよかった投稿を伝えます。何も伝えないと、どのアカウントにも当てはまるネタしか出てきません。
| 伝えること | 例 |
|---|---|
| アカウントの目的 | 自社の家事代行サービスを、共働きの家庭に知ってもらう |
| 見てほしい人 | 30〜40代の共働きの家庭。平日の夜にスマートフォンで見る |
| 反応がよかった投稿 | 「10分でできる冷蔵庫の片づけ」の動画は保存が多かった |
| 出してほしいもの | 来月の投稿ネタを20個。それぞれに一言の切り口を付けて |
人が決めること
AIの候補から採るネタは、人が選びます。目安は「自社が話す理由があるか」です。流行りの話題でも、自社のサービスとつながらないネタは、見られてもフォローや問い合わせにつながりません。
工程2:投稿文とハッシュタグ
投稿文は、AIに下書きを書かせて、人が直すのがいちばん速い進め方です。同じ内容で言い回しを3〜5通り出させると、比べながら選べます。
AIへの頼み方
- 投稿の目的(保存してほしい、プロフィールを見てほしい、など)を伝える
- 文字数と、最初の1行で何を言うかを指定する
- 使わない言葉(誇大な表現、他社の名前など)を伝える
ハッシュタグも、候補を出させるのは得意です。ただし、関係のない人気のタグが混ざることがあるので、投稿の内容に合うものだけを残します。
人が確かめること
AIは、もっともらしい数字や事実を書くことがあります。数字・価格・効果・日付は、必ず元の情報と照らし合わせます。健康食品や化粧品のように、表現のルールが厳しい商材では、効果をうたう言い回しが入っていないかも確かめます。
広告の文章をAIで作る手順は、AIで広告コピーを作る手順でくわしく解説しています。
実際の例:投稿の作成から配信までをAIに任せた会社
AIのソリューションを提供する株式会社SynergyAIは、自社のInstagramとXの運用をAIで自動化した結果を公表しています。

投稿文の作成、ハッシュタグ選び、予約と配信までをAIに任せた結果、運用にかかる時間が月約25時間減り、投稿の本数は約4.6倍になったと発表しています。
| 項目 | AIを使う前 | AIを使った後 |
|---|---|---|
| 運用にかかる時間 | 月約30時間 | 月約5時間 |
| 投稿の本数 | 週3本 | 週14本 |
| エンゲージメント率 | — | 従来の約1.5倍 |
(2026年3〜5月の計測。自社のサービスを自社で試した結果の発表です)
減ったのは作る時間で、そのぶん投稿の本数が増えています。AIに任せる範囲を「下書き」から「配信」まで広げる場合も、どんな投稿なら出してよいかの決まりを先に作っておくことが前提になります。
工程3:画像と動画
SNS運用でいちばん時間がかかるのが、画像と動画です。とくにリールやショート動画は、台本、撮影、編集、字幕と作業が多く、週に何本も作るのは簡単ではありません。この工程は、各SNSが公式にAIの機能を出し始めています。
SNSが公式に出しているAIの機能
| SNS | 機能 | 何ができるか |
|---|---|---|
| リールのAI翻訳 | リールの音声をMeta AIで別の言語に翻訳し、吹き替えまで行う。口の動きを合わせることもできる。2026年7月に日本語に対応。公開アカウントなら無料で使える | |
| Edits(動画編集アプリ) | 字幕の自動生成、AIで画像に動きを付ける機能、自動の補正など | |
| TikTok | Symphony Creative Studio | 動画の生成、画像の生成、アバターの動画、翻訳と吹き替え、動画の編集。無料で、オーガニックの投稿にも広告にも使える |
(出典:About Meta、Edits、TikTok広告ヘルプ)
この表から言えること:SNSの公式の機能は、すでにある動画を翻訳したり、編集を速くしたりするものが中心です。何を話す動画にするか、誰が出るかは、これまでどおり自分で用意する必要があります。
公式の発表と、使い方の動画
InstagramのAI翻訳は、2026年7月にMetaが日本語への対応を発表しました。お店や個人の発信で何が変わるかは、下の動画がわかりやすくまとめています。

InstagramのAI翻訳でお店や在宅の発信がどう変わるかの解説(インスタの学校のチャンネル)
TikTokのSymphony Creative Studioは、ブラウザで開いて、商品の情報や画像から動画を作れます。実際の操作は、下の動画で見られます。

Symphony Creative Studioで広告の動画を作る手順の解説(StockSunのマキトルくんchのチャンネル)
動画の壁は、演者
会社のSNSで動画を始めるとき、いちばんの壁になりやすいのが演者です。明るく話せて、数字を取れる社員がいれば、その人を軸に始めるのがいちばん安く済みます。けれど、そうした社員がいる会社は多くありません。
演者を外から呼ぶと、当社の現場の感覚では、1日の撮影で約10万円かかります。SNSは長く続けるものなので、この費用は月ごとに積み上がります。
演者がいなくても続けられる、2つの作り方
| 作り方 | どんな動画か | 向いているアカウント |
|---|---|---|
| AIアバターに話させる | AIで作った人物が、台本どおりに話す | サービスの説明や、よくある質問に答える動画が多いアカウント |
| 漫画やアニメの見た目にする | 人が出ずに、イラストのキャラクターで見せる | 悩みやあるあるを物語で見せたいアカウント |
どちらも、特定の人に頼らない「非属人」の動画です。担当者が変わっても、同じ見た目で続けられます。漫画やアニメの動画の作り方は、マンガ動画・アニメ動画の作り方でくわしく解説しています。ショート動画を作るツールの選び方は、ショート動画作成ツールの比較にまとめています。
工程4:投稿と分析
投稿の予約は、各SNSの公式の機能や運用ツールでできます。AIが役に立つのは、そのあとの分析です。
AIへの頼み方
各SNSの分析画面から数字を書き出し、AIに渡して、次のように頼みます。
- 保存やシェアが多かった投稿と、少なかった投稿を比べて、違いを3つ挙げて
- 最初の3秒で離れた人が多い動画の、共通点を挙げて
- 来週試すことを、優先順位を付けて3つ出して
人が決めること
AIが出す改善案は、あくまで候補です。数字が少ないうちは、たまたまの差を「違い」と読んでしまうこともあります。1回の投稿の結果で決めず、同じ型を何本か試してから判断します。
工程5:コメントとDMへの返信
コメントやDMの返信は、AIに下書きを書かせると速くなります。よくある質問への答えを先にまとめておき、AIに渡すと、言い回しがそろいます。
ただし、返信は会社の発言としてそのまま残ります。クレーム、個別の相談、お金や契約に関わる内容は、AIの下書きを人が読んでから送ります。AIに自動で返信させる場合も、送ってよい内容の範囲を決めておきます。
AIで作った投稿で、気をつけること
AIで作った投稿は、SNSごとに表示のルールがあります。また、作り方によっては批判を受けることもあります。
SNSごとの、AIで作ったことの表示
| SNS | ルール |
|---|---|
| YouTube | 本物に見える改変・合成(実在の人物が言っていないことを言うなど)は開示が必要。明らかに現実ではない内容や軽い編集は不要 |
| Meta(Instagram・Facebook) | 生成AIで作ったり大きく編集したりした投稿には「AI情報」のラベルが付くことがある |
| TikTok | 本物に見える場面や人物を含むAI生成コンテンツには、ラベル付けが必須 |
この表から言えること:共通しているのは、本物に見えるものほど、AIで作ったことを示す必要があるという点です。漫画やアニメの見た目のように、明らかに現実ではない動画は、受け手に誤解されにくい作り方です。
受け手は、表示を見ている
InstagramのAI翻訳で吹き替えられたリールには、「AIで翻訳」と表示されます。実際に、見た人がこの表示に気づいて、元の言語に切り替えた投稿もあります。

話し方に少しでも違和感があると、受け手はすぐに気づきます。そのとき「AIで翻訳」と表示されていれば、驚きで終わります。表示がなければ、だまされたと感じる人もいるはずです。
日本インターネット広告協会の調査では、生成AIの広告を受け入れやすくなる条件の1位は「生成AIを活用していることが明記される」(37.6%)でした。SNSの投稿でも、隠すより、はじめから伝えるほうが反発を招きにくくなります。
批判を受けやすい作り方
アニメや映画など、作り手への敬意が強い分野でAIを前面に出すと、批判を受けやすくなります。実在の作品に似た画像や、実物と違う商品の描写も避けます。実際の炎上の事例と防ぎ方は、生成AIの広告が炎上する6つの型にまとめています。
AIを使ったSNS運用の、1週間の流れ
週に3本の投稿を続ける場合の、AIを使った1週間の流れの例です。
| 曜日 | やること | AIに任せること |
|---|---|---|
| 月曜 | 先週の数字を見て、今週のネタを決める | 数字の比較と、ネタの候補出し |
| 火曜 | 3本分の台本と投稿文を作る | 台本と投稿文の下書き |
| 水曜 | 画像と動画を作る | 画像と動画の生成、字幕 |
| 木曜 | 事実と表現を確かめて、予約する | — |
| 金曜〜日曜 | 投稿し、コメントに返す | 返信文の下書き |
この流れから言えること:AIを使っても、月曜の「何を出すか決める」と、木曜の「出してよいか確かめる」は人の時間として残ります。減るのは、火曜と水曜の作る作業です。ここが半日で終わるようになると、同じ人数でも投稿の本数を増やせます。
演者がいなくても、SNSの動画を週に何本も出すには
1週間の流れの中で、いちばん時間がかかるのは水曜の「動画を作る」作業です。演者の手配や撮影がある会社なら、なおさらです。
当社が提供している動画AIのZideaは、もともと動画広告を作るためのツールですが、SNSに投稿するショート動画も同じ手順で作れます。広告として配信するか、普通に投稿するかの違いだけです。
- 演者がいなくても作れる:AIアバターが話す動画のほか、漫画やアニメの見た目の動画も作れます。社内に演者がいなくても、同じキャラクターで続けられます
- 台本から動画まで、まとめて作れる:商品やサービスのページのURLを入れると、台本、映像、テロップ、効果音までそろった動画ができます。気になるところは、台本や映像、テロップを自分で直せます
- 反応がよかった動画を手本にできる:伸びた動画のリンクを入れると、その構成を手本にした動画を作れます

上の画面は、Zideaで動画を作るときの「演者・映像の設定」です。演者の画像は、手元に写真がなければAIで生成できます。演者を出したくないときは、「AI生成映像+ナレーション」や「素材画像+ナレーション」のように、人が出ない形式だけを選べます。
社内に演者がいるかどうかで、選ぶ形式を変えればよいということです。
Zideaを運営する株式会社zokujinでは、広告の制作と運用の受託もしています。受託の複数の案件では、リサーチから台本、編集までで1本に約8時間かかっていた動画づくりが、Zideaを使うと約30分になりました(おおよその目安です)。
試すには無料アカウントの作成が必要です。新規登録すると絵コンテを1本無料で作れます。動画は7日間の無料トライアルがあります。

こんな広告動画が、URL ひとつで
まとめ:SNS運用にAIを使うときのポイント
- SNS運用は、企画、投稿文、画像と動画、投稿と分析、返信の5つの工程に分けて考える
- AIに任せるのは、どの工程でも「下書き」と「集計」。何を出すか、出してよいかは人が決める
- いちばん時間を減らせるのは画像と動画。InstagramやTikTokも、翻訳や編集のAI機能を無料で出している
- 動画の壁になりやすいのは演者。AIアバターや、漫画・アニメの見た目の動画なら、演者がいなくても続けられる
- 本物に見える投稿ほど、AIで作ったことを示す。はじめから伝えるほうが反発を招きにくい



