Wan(ワン)の動画生成AIを使ってみたいけれど、無料で使えるのか、ローカルで動かせるのかが分からない。料金はいくらかかるのか、安全なのか、作った動画を広告に使ってよいのかも気になる。Wanを調べる人には、こうした迷いがよくあります。
この記事では、Wanの公式サイト、料金ページ、利用規約と、Alibaba Cloudの発表・開発者向けのドキュメントをもとに、最新のWan 3.0の特徴と得意な動画を整理します。そのうえで、オープンソース版をローカルで動かす方法との違い、無料で使える範囲と料金を、60秒の広告1本あたりの金額に直して解説し、広告に使う前の規約の注意点をまとめます。最後に、広告づくりが目的の場合に、WanとZideaで何が違うのかを紹介します。
Wanとは:Alibaba Cloudの動画生成AI。オープンソース版もある
Wanは、中国のAlibaba(アリババ)グループのAlibaba Cloudが開発する動画生成AIです。公式サイトのWan Createで動画や画像を作れるほか、開発者向けにはAlibaba CloudのModel StudioからAPIで使えます。利用規約上の運営会社は、シンガポールのIntelligent Cloud Computing (Singapore) Private Limitedです(出典:Wan 公式サイト、Wan 利用規約)。
Wanには、使い方が大きく2つあります。
| 使い方 | 中身 |
|---|---|
| 公式サービス・APIで使う | 最新のWan 3.0を、公式サイトのWan CreateやAPIで使う |
| オープンソース版をローカルで動かす | 以前のWan 2.1・2.2は、GitHubでApache 2.0のライセンスで公開されている。自分のパソコンやサーバーで動かせる |
(出典:Wan-Video(GitHub))
2026年10月20日時点で、GitHubで公開されているのはWan 2.1・2.2などで、最新のWan 3.0は見当たりません。ローカルで無料で動かせるのは、ひとつ前までのモデルです。
最新のWan 3.0の特徴
Wan 3.0は、2026年8月24日に一般提供が始まりました。公式の発表では、次の点を挙げています。
| 特徴 | 公式の内容 |
|---|---|
| 1回で最長30秒 | 前のWan 2.7(2〜15秒)から延び、話の流れのある動画を1回で作れる |
| 参照素材が多い | 文章・画像・音声・動画を、最大20個まで参照できる |
| 資料やウェブページから作る | Word、Excel、PowerPoint、PDFなどの資料や、ウェブページを読み込んで動画にできる |
| 見た目をそろえる | 人物、小道具、場所、画風の一貫性を高めた |
| 動画を直す | 作り直さずに、動画の一部を直す編集ができる |
(出典:Wan 公式サイト、Alibaba Cloud「Wan3.0 at General Availability」)
Wanが得意な動画と、向いている用途
公式の発表では、Wan 3.0を試すとよい使い方として、いくつもの場面の流れがある物語、見た目をそろえたい参照からの動画づくり、商品の資料やウェブページを動画にすること、直しながら仕上げる編集を挙げています。広告やSNSに当てはめると、次のような使い方です。
| 得意なこと | 広告やSNSでの使い方 |
|---|---|
| 30秒の続いた動画 | 冒頭から商品の紹介までを、1本の流れで作る |
| 資料やウェブページから作る | 商品の紹介資料やLPを読み込ませて、商品の動画の下書きを作る |
| 人物や商品の見た目をそろえる | 同じ人物や商品が、何カットにもわたって同じに見える動画を作る |
| 一部だけ直す | できた動画の気になる部分だけを直す |
Wanは無料で使える?料金と、ローカルで動かす場合

公式サイト(Wan Create)の料金
料金ページの表示は次のとおりです(2026年10月時点)。料金はドル建てで、1ドル=158円(2026年10月19日時点の目安)で円に直しています。
| プラン | 月払い | 年払い(月あたり) | 毎月のクレジット | 主な違い |
|---|---|---|---|---|
| Free | 0円 | 0円 | 毎日のチェックインでもらえる | 動画は同時に1本 |
| Pro | 10ドル(約1,600円) | 5ドル(約790円) | 300 | 透かしなしのダウンロード、1080p、10〜30秒の長い動画 |
| Premium | 40ドル(約6,300円) | 20ドル(約3,200円) | 1,200 | 同時に8本 |
(出典:Wan 料金)
- 無料のプランでは、透かしなしのダウンロード、1080p、10〜30秒の長い動画は使えません。これらはPro以上の機能として並んでいます
- 料金ページでは、クレジットを「生成を速める(Accelerate)」ために使うとしていて、Proの300クレジットで最大60本の動画を速く作れるとしています
- 料金ページでは、最初の1か月(年払いは1年)は、開始後は返金されないとしています。また、このプランは公式サイトでの制作用で、APIなどほかの製品には別に購入が必要です
オープンソース版をローカルで動かす場合

Wan 2.1・2.2は、Apache 2.0のライセンスで公開されていて、自分の環境で動かせば利用料はかかりません。ただし、動画生成のモデルを動かすには高い性能のGPUと、環境を整える技術が必要です。また、最新のWan 3.0の機能(30秒、資料からの生成など)は、オープンソース版では使えません。
Wanの弱み:入れた素材に、公開や配布まで含む利用権を与える規約
Wanの公式サービスを広告に使うときに、まず確かめたいのが、利用規約で、入れた素材と作った動画に、運営会社へ広い利用権を与えることです。
利用規約の内容
Wanの利用規約(2026年8月6日更新)では、作った動画の権利は利用者に渡すとしたうえで、利用者は、運営会社とその関連会社に対して、利用者のコンテンツを使い、作り変え、公開し、配布することなどができる、無条件で、取り消しのできない、譲渡と再許諾ができる、永続的な全世界での利用権を与えるとしています。さらに、コンテンツの出どころとして利用者を示すために、利用者の名前、画像、肖像を使う利用権も与えるとしています(出典:Wan 利用規約)。
また、個人情報ではないコンテンツは、機械学習とAIの技術の開発と改善に使われ、利用している国の外で処理・保存されることがあるとしています。
発売前の商品の写真や、社外に出したくない資料、顧客の顔が写った素材を入れる前に、この条件で問題がないかを社内で確かめます。Wan 3.0は商品の資料やウェブページから作れる一方で、入れた資料もこの利用権の対象になる点に注意が必要です。
ほかにも押さえておきたい点
- 支払いは返金されない:利用規約では、支払いは返金されず、サブスクリプションは解約するとその期間の後に請求されなくなるとしています
- 透かしやラベルを消してはいけない:利用規約では、作ったものに付く表示や透かしを、許可なく消したり変えたりすることを禁止しています
APIで60秒の広告1本に直すと
公式サイトのクレジットは「生成を速める」ための仕組みで、1本あたりの金額が出しにくいため、開発者向けのAPIの料金で計算します。Alibaba CloudのModel Studioの料金(東京リージョン)を、1ドル=158円(2026年10月19日時点の目安)で円に直すと、次のようになります。
| 解像度 | 1秒あたり | 60秒の広告1本(1回で決まった場合) | 3回作って1回使う場合 |
|---|---|---|---|
| 1080p | 約0.165ドル | 約1,600円 | 約4,700円 |
| 720p | 約0.083ドル | 約780円 | 約2,300円 |
| 480p | 約0.041ドル | 約390円 | 約1,200円 |
(出典:Alibaba Cloud Model Studio「wan3.0-video」。シンガポールリージョンは1080pで1秒0.20ドル)
1回で最長30秒なので、60秒の広告は2本作ってつなぎます。
広告に使う前に確かめたいこと:入れる素材と、使い方のルール
1. 入れる素材の権利
利用規約では、入れる素材について、必要な権利と許可をすべて持っていることを利用者が保証するとしています。社員や演者の写真、他社のキャラクターや商品に似せた素材は、入れる前に権利を確かめます。
2. 使い方のルール
Wanには、利用規約とは別に、利用のポリシーが定められています。広告に使う前に、禁止されている内容に当たらないかを確かめます(出典:Wan 利用のポリシー)。
3. オープンソース版のライセンス
ローカルで動かすWan 2.1・2.2は、Apache 2.0のライセンスに従います。モデルを使う場合でも、作った動画が他人の権利を侵害しないかは、利用者が確かめます。
生成AIで作った動画を広告に使う条件は、動画生成AIの商用利用の記事で詳しく解説しています。
Wanが向いている人、向いていない場面
ここまでの特徴から、Wanが向いている人は次のとおりです。
- 30秒の続いた動画を1回で作りたい人:場面の流れのある動画を、つなぎ目なく作りたい人
- 安く始めたい人:年払いのProなら月5ドル(約790円)で、透かしなしの1080pを使いたい人
- 自分の環境で動かしたい開発者:オープンソースのWan 2.1・2.2を、自分のGPUで動かしたい人
反対に、広告づくりでは次の場面で手間がかかります。
| 場面 | なぜ手間がかかるか |
|---|---|
| 発売前の商品や、社外に出したくない資料を使う | 規約で、公開や配布まで含む、永続的で取り消せない利用権を運営会社に与える |
| 無料のプランで広告を作る | 無料では透かしが入り、1080pや10〜30秒の動画は作れない |
| オープンソース版で最新の機能を使う | ローカルで動かせるのはWan 2.2まで。Wan 3.0の機能は使えない |
| 何を伝えるか(訴求と台本)が決まっていない | Wanは、資料や指示から動画を作る道具。商品のどの良さを、誰に、どの順で伝えるかは、先に自分で決める |
| 訴求を変えたパターンを何本も比べる | パターンごとに指示を書き直して作り直す |
動画広告を作るなら、動画広告に特化したAIツールZideaもおすすめ
Zideaは、LPのURLを入れるだけで、AIが訴求軸の分析から台本・絵コンテ・動画広告の制作までを行う、動画広告に特化したAIツールです。AIアバター、映像生成、編集、効果音やモーションなどの演出まで1つのツールで扱えます。
WanとZideaは、出発点と目的が違います。
| Wan | Zidea | |
|---|---|---|
| 何のためのサービスか | 資料や指示から動画を作る、汎用の動画生成 | 動画広告を作るためのサービス |
| 何から作るか | 自分で用意した参照素材、資料、指示 | 商品のLPのURL、または参考にしたい広告の動画のリンク |
| 何を考えてくれるか | 指示された場面を、動画にする | 訴求の分析、台本、絵コンテから考える |
| できあがるもの | 1回最長30秒の動画 | ナレーション・テロップ・効果音まで入った広告1本 |
| 費用の目安 | Pro月10ドル(約1,600円、年払いは月約790円)。APIでは1080pの60秒1本あたり約1,600円。作り直すたびにかかる | Standardプラン月額29,800円で約17本。広告1本あたり約1,750円 |
| 日本向けの作り | 世界の利用者向けのサービス | 日本の、ストーリーで訴求する動画広告づくりが前提 |
| パターン作り | パターンごとに指示を書き直して作り直す | 冒頭や訴求を変えたパターンもまとめて作れる |
30秒の動画を安く作ったり、オープンソース版を自分で動かしたりするなら、Wanは選択肢になります。一方で、広告やSNSの動画を、訴求から考えて何本も作って比べることが目的なら、動画広告に特化したZideaを使うと、道具を組み合わせる手間がかかりません。台本・映像・テロップ・演出は、自分で細かく直せます。
料金は、Lightプランが月額9,800円(約5本分)、Standardプランが月額29,800円(約17本分)、Proプランが月額59,800円(約35本分)です。
Zideaを運営する株式会社zokujinの自社運用での実証では、1本の制作時間が8時間から30分に、検証できる本数が1本から20本に増えました(お客様の成果ではなく、自社の運用結果です)。
試すには無料アカウントの作成が必要です。新規登録すると絵コンテを1本無料で作れます。動画は7日間の無料トライアルがあります。

こんな広告動画が、URL ひとつで
まとめ:Wanを使う前のチェックリスト
- 公式サービス・API(Wan 3.0)か、オープンソース版のローカル(Wan 2.2まで)かを決めたか
- 入れる素材や資料に、公開や配布まで含む利用権を与えてもよいかを社内で確かめたか
- 広告に使うなら、透かしのない有料のプランで作るか
- 何pで作るかを決め、60秒の広告1本あたりの金額を見積もったか
- 支払いは返金されないことを踏まえて、プランを選んだか
- 社員や演者、他社のキャラクターに似せた素材を入れていないかを確かめたか



